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Salesforce AIとは
Salesforce AIは、Customer 360の各製品に組み込まれたAI機能をまとめて指す呼び方です。単体で動くAI製品というより、日々使っているCRMの画面の中で働く仕組みとして提供されています。
Customer 360全体で予測AI・生成AI・エージェント型AIを活用する仕組み
Salesforce公式サイトは、Salesforce AIを次のように案内しています。
Customer 360全体で予測AI、生成AI、エージェント型AIを活用することで、生産性を高め、パーソナライズを推進できます。
AIが1つの製品として独立しているのではなく、3種類のAIとしてCustomer 360の各所に配置されている構造です。営業向けの画面にも、カスタマーサービスの画面にも、それぞれの業務に応じたAIが入ります。3つは機能の大小で分かれているのではなく、担当する仕事そのものが違います。
なお、AIの利用を支える信頼性の仕組みについては、公式サイト上でAgentforce Trust Layer、Einstein Trust Layer、Salesforce Trust Layerという複数の表記が並存しています。ここでは名称の詳細に立ち入りません。
出典>>Salesforce「Salesforce AI」
Agentforce については以下の記事でも解説しています。
関連記事>>Agentforceとは?できること・日本語対応・導入の要点を解説
Salesforce AIの3種類(予測AI・生成AI・エージェント型AI)
3種類の違いは、何を出力するかで分かれます。ここでは公式サイトの定義文を引きながら、予測AI・生成AI・エージェント型AIの順に整理します。
予測AI:隠れたパターンを特定し、確率を計算する
公式サイトは予測AIを次のように説明しています。
Salesforceは、約10年にわたり、機械学習を活用して企業が将来を見通せるよう支援してきました。予測AIは、隠れたパターンを特定し、確率を計算することで、チームが過去を振り返るのではなく、先を見据えて業務を進められるよう支援します。
予測AIは、確率や予測値などを出力します。
生成AI:大規模言語モデルでテキストや画像を作る
生成AIについては、次のように説明されています。
生成AIは、大規模言語モデル(LLM)を活用して膨大なデータの中からパターンを特定し、テキスト要約、画像、メールの下書きなど、人間が作成したようなオリジナルコンテンツを生成します。
生成AIが出すのは、確率ではなくコンテンツです。要約や下書きは、人が最後に手を入れて使う前提の出力になります。読ませる材料が文章として蓄積されているほど、出力が具体的になる領域です。
エージェント型AI:自律的に計画・推論し、複数ステップのタスクを実行する
エージェント型AIの定義は、前の2つとは書き分けられています。
エージェント型AIは、単純な支援を超えて、特定の目標を達成するために、自律的に計画、推論し、複数のステップから成るタスクを実行する高度なAIです。
予測AIと生成AIが人の判断や作成を助けるのに対して、エージェント型AIは目標を渡されたあとの手順を自分で組み立てて実行します。Salesforceでこの領域にあたるのがAgentforce関連の機能群で、その詳細は本記事では扱いません。
出典>>Salesforce「Salesforce AI」
3種類の違いを1つの表に並べます。
| 種類 | 何をするか | Salesforceでの代表例 |
|---|
| 予測AI | 隠れたパターンを特定し、確率を計算する | 機械学習を活用した予測(公式サイトは約10年の活用実績を案内) |
| 生成AI | LLMでテキスト要約、画像、メールの下書きなどのコンテンツを生成する | テキスト要約、メールの下書き |
| エージェント型AI | 自律的に計画・推論し、複数ステップのタスクを実行する | Agentforce関連の機能群 |
3種類は、どれか1つを選ぶものではありません。予測AIが出した確率を見て、生成AIが下書きを作り、エージェント型AIがその後の手順を回す、という重ね方が想定されています。
Salesforce AIでできること(部門別)
部門ごとにできることは、3種類のAIのどれが担うかで見分けられます。ここでは公式の定義を部門の業務に当てはめて整理します。実際に使える機能の名前と提供範囲は、契約するエディションとアドオンによって変わります。
営業部門
予測AIは、商談の一覧を前にしてどこから当たるかを決めるときの見立てを、確率として出します。生成AIは要約とメールの下書きを作り、エージェント型AIは決めた目標に沿って、1回の指示では終わらない一連の手順を回します。営業の1日に沿った具体例は、次の章で扱います。
カスタマーサービス部門
問い合わせ対応は、過去の対応履歴という文章のデータが大量にたまる業務です。生成AIは、その履歴を要約したり、返信の下書きを作ったりする役割を担います。エージェント型AIは目標を渡されたあとの手順を自分で組み立てるため、進め方があらかじめ決まっている一次対応と相性があります。
マーケティング部門
マーケティングは、反応の予測とコンテンツの作成が同時に発生する業務です。予測AIはどの相手がどの程度反応しそうかという確率を出し、生成AIは送る文面そのものを作ります。作った文面への反応が新しいデータになり、次の予測の材料に戻っていく形です。
どの部門でも、3種類のAIが読んでいるのは、Salesforceと接続された外部アプリケーションのデータです。部門ごとに利
営業の1日で見る、AIが担う場面
3種類の分担は、業務の流れに沿って並べると分かりやすくなります。ここでは外回り営業の1日を例に、どの場面でどのAIが働くのかを見ていきます。
朝:予測AIが向かう先の順番を支える
1日の始まりに、その日回る先を確認します。商談の一覧に確率が付いていれば、どこから当たるかの判断を数字で裏づけられます。この確率を計算するのが予測AIです。
移動中と訪問前:生成AIが過去のやりとりを要約する
次の訪問先へ向かう電車の中で、前回何を話し、どの条件で保留になったのかを短くまとめるのは生成AIの領域です。ここで生成AIが読んでいるのも、Salesforceに残っている過去のやりとりです。
訪問中と訪問後:人が動く場面と、AIが引き取る場面
訪問先で交わす会話そのものは、人が動く場面です。相手の表情を見ながら条件を詰めるやりとりでも、会話は文字起こしなどを通じてAIの入力にできます。
訪問を終えたあとは、お礼のメールの下書きが生成AI、次のアクションの整理と一連の手順の実行がエージェント型AIの領域になります。
3種類のAIは違う場面で働いていますが、共通しているのは、いずれもSalesforceや接続された外部アプリケーションのデータを読んで動いている点です。訪問中に交わした会話も、取得する仕組みがあれば、その場でAIの入力になります。
2026年に日本で使えるようになった主な機能
2026年に日本で提供開始または日本語対応が発表された主な機能は、エージェント型AIまわりに集中しています。時系列で並べたものが次の表です。プレスリリースの公開状況の都合で全件を確認できていないため、網羅した一覧ではありません。
| 時期 | 内容 |
|---|
| 2026年2月18日 | Agent Scriptと新しいAgentforce Builderを発表 |
| 2026年6月8日 | 新しいAgentExchangeの日本提供を開始 |
| 2026年8月5日 | Agentforce Coworkerが日本で一般提供(GA)開始 |
| 2026年8月7日 | Agentforce Voiceの日本語版が一般提供(GA)開始 |
| 2026年8月17日 | MuleSoft Agent FabricとMuleSoft Omni Gatewayを日本市場で提供開始 |
出典>>Salesforce「MuleSoft Agent Fabric 新機能群と MuleSoft Omni Gateway を日本市場で提供開始」
上半期はエージェントを組み立てる側の仕組みと、必要な機能を外部から追加する入口が整い、下半期は日本語で利用できる範囲の拡大と、複数のAIエージェントをまたぐ管理・連携の基盤の提供が進みました。海外で発表された機能がそのまま日本で使えるとは限らないため、検討にあたっては日本提供が明記されているかどうかを確認しましょう。
必要なエディションと料金の考え方
Salesforce AIを使うために必要な契約は、1枚の価格表では読み切れません。Sales Cloudのエディションに含まれる範囲と、Agentforceのように別の課金モデルで提供される範囲が分かれているためです。ここでは、どこを見に行けばよいかを整理します。
なお公式の日本語製品ページでは、Sales Cloudは現在Agentforce Sales(旧Sales Cloud)と表記されています。価格ページの表記はSales Cloudのままなので、資料を突き合わせるときは同じものを指していると読み替えてください。
Sales Cloudのエディション別価格
Sales Cloudの料金は、エディションごとに1ユーザーあたりの月額が定められています。2026年9月8日時点の公式ページの記載は次のとおりです。
| エディション | 1ユーザーあたり月額(円) |
|---|
| Free Suite | 0 |
| Starter Suite | 3,000 |
| Pro Suite | 12,000 |
| Enterprise | 21,000 |
| Unlimited | 42,000 |
| Agentforce 1 Sales | 66,000 |
AIへの言及があるのは両端の2つです。Starter Suiteの説明には「AIがメール、イベント、連絡先を自動的に同期」、Agentforce 1 Salesの説明には「AIのフルスイートを利用可能」という記載があります。Unlimitedにも予測AIが含まれており、AI機能の提供条件はエディションと機能によって異なります。
公式価格ページには、AI関連項目を含むエディション別機能比較表があります。まず比較表で標準搭載と追加購入の区分を確認し、詳細な前提条件や制限は各機能のヘルプで補足確認します。
出典>>Salesforce「Sales Cloud 価格・エディション比較」 (2026年9月8日時点)
出典>>Salesforce「Agentforce Sales(旧Sales Cloud)」
Agentforceは従量課金モデルが中心
Agentforce側の料金は、エディション区分ではなく従量課金モデルが中心で、事前購入、事前コミット、PayGoという支払い方が用意されています。公式の料金ページでは円建てとドル建ての表記が混在しているため、見積もりを比べるときは通貨を揃えてから計算してください。
出典>>Salesforce「Agentforceの料金」 (2026年9月8日時点)
外部ツールを組み合わせてAIに読ませるデータを増やす
Salesforceの標準機能に加えて、外部ツールを組み合わせる方法もあります。SalesforceのAgentExchangeに掲載されているUPWARDでは、訪問先への滞在を検知して訪問活動をSalesforceへ記録したり、対面商談を録音してAIが内容を要約し、活動報告としてSalesforceへ連携したりできます。
どのエディションを選ぶかは、AIに何を読ませたいかとセットで決まります。
Salesforce AIの導入でよくある課題
Salesforce AIの導入では、機能そのものの性能より手前の段階でつまずくことが多くなります。ここでは検討の場でよく挙がる3つを取り上げます。それぞれの解決の方向は、次の章でまとめて扱います。
どのエディションで何が使えるか判断しにくい
AI機能の可否は、前の章で見たとおりエディションとアドオンに分かれています。Agentforce側はさらに別の従量課金モデルになるため、Sales Cloudのエディションを決めただけでは総額が固まりません。公式のエディション別機能比較表に加え、各機能の詳細な提供条件も確認する必要があります。
入れただけでは効果が出ない
総務省の令和8年版情報通信白書は、AI導入・活用による効果創出のステップとして2つの段階を示しています。第1段階は、ChatGPTやGeminiなどの汎用AIを従業員個人が安全に使える環境を整え、個人作業を効率化する段階です。第2段階は、全社的なAIリテラシーが育った後に、経営戦略に基づいて業務プロセスを再設計する段階にあたります。
白書は後段で、どのタスクをAIによる人間の思考の補助に使い、どのタスクをAIに自律的に任せるかを、業務プロセス全体で検討する必要があると述べています。契約して有効化しただけでは第1段階にとどまります。
出典>>総務省「令和8年版情報通信白書」
営業の現場では、この第2段階に届いている実感がまだ薄いのが実情です。UPWARDの独自パネル調査では、営業DXが進んでいると実感している割合は23.8%にとどまりました。
出典>>UPWARD独自パネル調査「フィールドセールス(外回り営業・外勤営業)の活動実態と業務課題調査」(2026年5〜6月実施、スクリーニングN=2,400/本調査N=370)
AIに読ませる活動データが、そもそも蓄積されていない
メールも問い合わせも、システムを通る時点で記録が残ります。しかし、訪問して「誰と何を話したか」は、事情が違います。外回りの営業が訪問先で得た情報は、担当者の手帳やPCと記憶の中にあります。
その情報をAIで活用するには、AIが参照できるデータにする必要があります。
放置してしまうと、予測AIが読む実績にも、生成AIが要約する文章にも、エージェント型AIが参照する材料にもならないまま残ります。
課題への解決アプローチ
3つの課題は、それぞれ別の打ち手で手当てできます。
1つめの、エディションで何が使えるか判断しにくいという課題には、対象業務を1つに絞ることで対応します。全社でAIを使うという前提で見積もると、必要な機能が広がりすぎて比較になりません。商談の要約なら要約と先に決めて、その業務に要る機能だけでエディションとアドオンを見積もります。
2つめの、入れただけでは効果が出ないという課題には、白書が示す段階の順序どおりに進めることで対応します。個人が汎用AIで作業を効率化する段階を経て、業務プロセスの設計に進みます。営業でいえば、AIに読ませるデータがどこで生まれるかを先に決めることが、この設計にあたります。
3つめの、読ませる活動データが発生していないという課題は、データが生まれる場所そのものを変えることで対応します。UPWARDは訪問先への滞在を検知して訪問活動を記録し、対面商談を録音してAIが内容を要約し、活動報告としてSalesforceへ連携します。訪問という接点で交わした情報が、AIの読めるデータとしてSalesforceに残ります。
CRMへの入力を自動で残す考え方は、こちらでも解説しています。
関連記事>>CRMへの登録が面倒?Salesforceを”自動更新するAIエージェント”という選択肢
訪問の記録がSalesforceにどこまで自動で残るのかは、次のページで整理しています。
関連ページ>>Salesforceとの連携サービス
まとめ
Salesforce AIは、3種類のAIをCustomer 360の各製品に組み込んで提供する仕組みです。検討の入口として押さえておきたい点を5つに整理します。
- 予測AIは確率を計算し、生成AIはテキストや画像を生成し、エージェント型AIは複数ステップのタスクを実行します
- 3種類とも、読んでいるのはSalesforceと接続された外部アプリケーションのデータです
- 2026年は新しいAgentExchangeの日本提供とAgentforce Voiceの日本語版の一般提供などが発表されました。日本提供の有無は機能ごとに確認が必要です
- 料金はSales Cloudのエディションに加え、AIのユーザーライセンスやアドオン、従量課金などの組み合わせで決まります
外回りの営業では、訪問先で交わした情報がSalesforceに残るかどうかが、AIに読ませる材料の量を左右します。営業担当者がいつ、どこで活動報告を入力しているのかは、UPWARDの独自パネル調査「フィールドセールス実態調査2026」(本調査N=370)にまとめています。
Salesforce AIに関するよくある質問
Salesforce AIについて、検討の場でよく挙がる5つの質問にお答えします。
Q: Salesforce AIとAgentforceは何が違いますか
Salesforce AIは、Customer 360に組み込まれた予測AI・生成AI・エージェント型AIの3種類をまとめて指す呼び方です。Agentforceは、このうちエージェント型AIの領域で提供されている機能群を指す名前です。
Q: Salesforce AIを使うのに追加の契約は必要ですか
エディションと使いたい機能によって変わります。Sales Cloudでは、エディションに含まれるAI機能と、追加購入が必要なAI機能があります。
Agentforce側は従量課金モデルが中心で、別に費用が発生します。
Q: Salesforce AIは日本語で使えますか
日本語で提供されている機能があります。2026年8月7日には、Agentforce Voiceの日本語版が一般提供されました。ただし海外で発表された機能がそのまま日本で使えるとは限らないため、機能ごとに日本提供の有無を確認してください。
Q: AIに読ませるデータは何が必要ですか
予測AIは過去の実績、生成AIは蓄積された文章、エージェント型AIはその両方を材料にします。いずれもSalesforceや接続された外部アプリケーションのデータを読んで動くため、実績と文章が蓄積されている領域ほど出力が具体的になります。
Q: 訪問した内容もAIが自動で記録しますか
対面の訪問で交わした会話は、人が入力するか、別の仕組みで取得しない限りSalesforceには残りません。訪問先での滞在検知や、商談の録音と要約に対応した外部ツールを組み合わせる方法があります。
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