導入事例|株式会社ニッセン産業
営業の属人化を解消しデータを会社の資産へ変換。移動効率を上げ、顧客接点を増やす「営業の型」で行動量45%UP
企業名
業種
企業規模
課題
活用分野
本社所在地
URL
日報で「サボってないかどうか」を知るのではなく、活用可能なデータにしたい
ニッセン産業は、北海道産牧草の買取販売を中心に、畜産飼料全般を取り扱っています。また、地域で処分に困っている“稲わら”や“籾殻”を、畜産の寝わらとして流用させたり、酪農ヘルパーのような地域で不足しているサービスを起業するなど、北海道農業の多様なニーズに対応し、その発展の一助となることを目指しています。
この牧草流通事業は、私が個人事業主として始めたものでした。当時から個人的にも「IT活用」は意識していて、バンを事務所代わりにして畑の中からパソコンを開いて「InterFax」というツールで発注確認のFaxを送って、そのままメールで事務処理全て済ませるなど… 競合他社との差別化のためにも、とにかく効率は意識していました。
事業規模が大きくなり、営業マンを雇うと、まずは手書きで日報を書いてもらいました。1日どんな活動をしたのか一通り記入して、机の上に置いて行ってもらう。この運用だと、人数が増えてくると見切れなくなってきますし、内容を読んでも、「サボってないかどうか」が分かるだけ。全く活用できるものではありませんでした。
この状況はまずいと、2011年にSFAである、ソフトブレーン株式会社のeセールスマネージャーを導入。まだこの頃はスマートフォンが普及していなかったので、帰社後にこのシステムへ入力してもらっていました。手書き日報が廃止され、顧客に情報を紐づけることができるようになったものの、今度は入力負荷が課題に。
営業は酪農家さんを何件も回ってから事務所に戻るので、帰ってくる頃には午前中のお客様の情報を忘れてしまったり、会社でしか入力できないので、出張から戻ると入れる量が倍になってしまったり。
かつ現場に負荷がかかってしまうことで、入力する人としない人が出てきてしまう。入力しない人がいると情報が共有されないので、営業におけるアドバイスもできない、という大きなデメリットも感じていました。
その頃にクラウドサービスのSalesforceを知り、ちょうど普及してきていたスマートフォンと掛け合わせれば、もう少し効率化できるのではないか?と思い、リプレイスに踏み切りました。
移動時間が侮れない北海道で、いかに効率を上げるのか
Salesforceを導入してからは、スタッフ同士の情報共有がスムーズにできるようになって、顧客ごと、商談ごとの情報が蓄積できるように。データの活用もでき、「全然別物だな」と感じました。
しかし、新しいシステムを導入・定着していくことは簡単ではありません。時間もかかりますし、社員のリテラシーやモチベーションにも差があります。
また、活動の結果を見てみると「頭の中で計画を立てているだけだと、行きやすいところにしか行かないんだな」ということが分かってきます。顧客から問い合わせや発注があると、明日でも明後日でも良いところに「今日これから伺います」と、ついなってしまう。移動効率を考慮して、他のフォローすべき顧客のスケジュールを見て…といった効率化への思案は、どうしても出来ていなかった。
当然「売らなきゃいけない」という意識からきているのですが、移動効率については非常にもったいなく感じていました。北海道は広大ですから、移動時間は侮れない。効率的に計画を立てないと、1ヶ月がメンバーごとに全く違うように過ぎてしまい、活動量・商談数にかなりの差がついてしまうんです。
そこで、Salesforceと連携でき、地図から活動計画が立てられるUPWARDを2016年に導入。「牧草にニーズあり」「寝わらにニーズあり」など、お客様の状況に合わせて可視化した地図を何枚か作って、スマートフォンから仮で予定を組んでから営業するようになりました。活動計画や移動効率といったところは、かなりこれで変わりましたね。
営業会議のときに活動量を報告してもらいますが、訪問の数は効率良くやればやるだけ多くなっていきます。活動量を上げるには効率的に移動しなくてはいけません。こちらはUPWARD導入後に、平均45%増となり、地図の活用はバッチリハマったなと考えています。
また、訪問結果についても、外出先のその場で音声入力してもらうので、Salesforce内のデータの精度もかなり高まりました。過去の取引履歴を見たときに元々自分の担当顧客じゃなくてもきちんとデータが入っているので、「数か月前にこのようなお話を伺ったのですが、その後いかがですか?」という会話が出来るようになります。お客様は「すごい記憶力だね」と喜んでくださるので、そこから商談に繋がることもしばしばあり、非常に効果を感じています。
実は、ここまで定着化したのには、「私自身がプレイヤーとしてUPWARDを扱った」という経験が大きく作用しています。導入当初はどうしてもマネジメント目線というか、事務所から管理者の目線で構築してしまっていた部分があり、「何が必要か」しか見ておらず「必要じゃないもの」についてそこまできちんと認識できていませんでした。
ただ、あるとき私自身が一部エリアの新規開拓を行なうことになり、プレイヤーとしてUPWARDを扱ってみることで、「もっとこうした方が使いやすいな」「この項目は不要だったな」とどんどんブラッシュアップを重ねていきました。そうすると、メンバーも同じ目線になりますので「これなら分かる!」と一気に浸透・定着化を進めていくことが出来ました。
また、UPWARDのカスタマーサクセスの方に、使い方についてのセミナーを開催していただいたのも大きかったですね。現在はかなり日常的に活用できるものになっていて、使いこなせているのかなと感じています。
人に依存するのではなく、営業の「型」が売上を伸ばしていく
現在のUPWARDを使った営業の「型」というのは、ウチにとっては競合他社との差別化における重要な指標です。
実は、UPWARDの導入推進時に、ベテラン社員からの反発もありました。既に営業成績を上げている優秀な社員ほど「なんでわざわざ活動の報告をシステムに入力しなければいけないんだ、そんな時間があるなら商談に行きたい」という意見は当然出てきます。
ただ、重要なのは、それでも徹底して会社として「SFAでやってくれ」というメッセージを発信し続けること。2~3年経ってみると、当時まだ慣れていなかった人たちが、SFAによってその頃以上の売上を上げることに成功しています。
結局優秀な人の勘と直感で売上を上げていっても、その人がいなくなったらフォローできない…というのでは、あまり意味がないと思うんです。会社としては、資産である「お客様の情報」がきちんと会社に残るようになったので、非常に良かったなと感じています。
売るのが上手くなるためには、たくさん練習は必要です。打率を上げるにはまず、打数を多くする。打数が多い営業はその分練習しているので、必ず打率も上がってくる。すごく優秀な人を採用するのに苦労するより、その「型」を運用していけば打率の高い営業を育てることができるんじゃないか。北海道という広いエリアでもっと営業人数を増やして、人に依存するのではなく、「型」が売上を伸ばしていく、というのを今は掴みつつあります。
UPWARDを活用した営業の「型」を使って、きちんと「やることをやる」人を増やしながら売上を上げていって、これからも北海道という広いエリアで事業を進めていきたい、北海道農業と共にありたいなと、考えています。