労働力人口が減少する中で、働き方改革を進めていかなくてはならない日本企業。この厳しい現実の中でも事業成長し続けるためには、日々の業務の生産性向上が必須です。
本記事では生産性向上の基本・取り組むメリット・具体的な8つの施策や成功事例などを詳しく解説しています。自社の生産性を向上させたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
労働力人口が減少する中で、働き方改革を進めていかなくてはならない日本企業。この厳しい現実の中でも事業成長し続けるためには、日々の業務の生産性向上が必須です。
本記事では生産性向上の基本・取り組むメリット・具体的な8つの施策や成功事例などを詳しく解説しています。自社の生産性を向上させたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
事業における生産性向上とは、インプット(人数や設備、時間など)に対して得られるアウトプット(売上・生産量・付加価値など)の最大化を意味します。
生産性を数値化する場合、以下のような数式で表します。
生産性 = アウトプット(売上・生産量・付加価値など) ÷ インプット(人数や設備、時間など)
つまり、生産性向上をさせるためには以下の2通りのパターンがあると言えます。
・インプット量を減らし、アプトプット量を維持、あるいは増やす
・インプット量を増やし、インプット量以上にアウトプット量を増やす
自社の状況に応じて適切なパターンで対応することが、生産性向上につながります。
生産性向上と似た言葉に「業務効率化」という概念がありますが、それぞれの概念は異なります。生産性向上は、従業員一人あたりのアウトプットの質と量を最大化させることを指します。一方で、業務効率化は、業務における3M(無駄、ムリ、ムラ)をなくし、業務を効率化することを指します。そのため、業務効率化は生産性向上を達成するための手段の一つとも言えるでしょう。
日々あらゆるメディアで言われているように、日本では少子高齢化が急速に進んでいます。
厚生労働省が発表した「労働人口の減少」によると、労働に適した年齢かつ働く意思のある者を表す「労働力人口」は2000年の約6800万をピークに2030年には約6200万へ減少する見込みになっています。30年の間に労働力人口は約600万人も減少することから、今後は多くの業界・業種で人材不足が深刻化していくと考えられます。人材不足が深刻化すると既存従業員の負担は大きくなりますので、企業の生産性向上への取り組みの重要性はますます大きくなるでしょう。
近年、政府の呼びかけにより「働き方改革」の動きが企業の間で活発化しています。そのため、労働者は「残業時間が少ない」「有給休暇が取得しやすい」「リモートワークができる」など、ワークライフバランスを実現できる企業に勤めたいと考えている人が増加しています。優秀な人材には長く在籍してもらい、さらに優秀な人材を獲得するためにも生産性を向上することが求められているのです。
公共財団法人 日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2023」によると、日本の時間当たり労働生産性は、52.3ドルとOECD 加盟38カ国中30位という結果でした。国際的に見て日本は1970年以降、年々生産性の悪化を辿っています。少子高齢化により、今後日本が縮小していく中、グローバルな環境で勝つためには生産性向上の取り組みが必要不可欠と言えるでしょう。
生産性向上によって、企業におけるさまざまなコスト削減につながります。
例えば、AIやITツールを導入することにより、従業員人数や残業時間の削減といった人的コストの削減。また、リモートワークを主体とすることで、オフィス縮小による物質的コストの削減なども挙げられます。
生産性向上によって削減したコストを活用し、研究開発や既存製品の付加価値向上のために投資することで、さらなる利益拡大や顧客満足度向上につながるでしょう。
ムダの多い、非効率な作業は従業員のモチベーションを著しく低下させます。
このような業務から解放され、事業成長につながる創造的で本質的な業務に携われるようになると、従業員のモチベーションアップにつながります。モチベーションアップにより従業員の生産性が向上すると、結果的には業績拡大にも貢献します。 また、業績拡大の一部を賞与や昇給として還元できると、さらなるモチベーションアップにつながり企業経営を行う上で良い循環が生み出せるようになるでしょう。
生産性向上が実現すれば、一人あたりの業務の質と量が向上します。
そのため、人手不足問題の解消につながり、限られた人材の中でも効率的に成果が出せるようになるでしょう。人手を増やすということも重要ですが、既存従業員のパフォーマンスをいかに向上させるかという観点も生産性向上を目指す上で重要な考え方です。
従業員一人あたりの生産性が向上すると、残業時間の低下や有給取得がしやすくなります。
その結果、従業員のワークライフバランスが改善されます。ワークライフバランスが改善することで、離職防止にもつながり、長期的には採用コストの低下が期待できるでしょう。
生産性向上の取り組みを行う上で、初めに行いたいのがこれまでの業務内容の洗い出しです。
例えば、ある業務をより短い時間で完了させたい場合、業務フローやアウトプット量などを正確に洗い出します。業務内容を正確に洗い出すことによって、生産性向上を妨げている部分はどこか、ボトルネックを見つけます。洗い出した結果、慣習的に行われているムダ仕事や簡略化できるような業務があれば、積極的に改善していきましょう。もちろん、すでに課題が明確になっている場合、その課題に直接アプローチしていきましょう。
日々の作業の一部にアウトソーシングを活用できないか検討しましょう。
例えば、マーケティング部門の場合、記事執筆やレポート作成などにアウトソーシングを活用することにより、従業員はよりクリエイティブでコアなマーケティング業務に集中できるようになります。ただし、アウトソーシングを利用する場合、顧客情報の漏洩リスクがあるような作業は社内で行うことが望ましいでしょう。
業務の進め方が従業員任せだと、人によって仕事の進め方にバラつきが生まれ、時間のムダが生じる可能性があります。
そのため、業務のマニュアル化を積極的に行いましょう。 業務のマニュアルが整備されていることにより、マニュアルを確認することで、誰もが一定以上のクオリティで業務を遂行できるようになります。また、従業員の休職・育児休暇・離職といった状況が発生した場合も、スムーズに引き継ぎしやすくなるため属人化といった問題の解決にもつながります。
従業員のスキルと業務内容がマッチした人員配置を行うことも重要です。
従業員の適切な配置ができれば、業務のアウトプットの量や質が向上し、生産性向上が期待できます。それだけでなく、自分の得意とする業務ができれば、従業員のモチベーションアップにもつながります。人員配置の見直しを行う場合は、従業員がチャレンジしてみたい業務や得意としている業務などもヒアリングし、各部署の現状など総合的に考慮しながら検討するようにしましょう。
生産性向上を目指す上で、ITツールの導入は欠かせません。
ITツールを導入することで、データ処理などの作業時間を削減でき、人だからこそ価値を生み出せる本質的な業務へリソースを集中できるようになります。バックオフィス部門であれば、事務作業におけるデータ入力や単純作業を自動化するRPA (ロボティック・プロセス・オートメーション)。営業部門であれば、顧客情報の蓄積、営業分析などを得意とするCRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援)といったITツールがあります。自社の生産性を下げている課題を洗い出し、課題に適したITツールを導入しましょう。
生産性向上につながる業種別ITツールの紹介は下記記事で詳しくご紹介しています。
【最新】業務効率化ツールおすすめ25選!種類・選び方・注意点を徹底解説!
企業が成長し、生産性を向上させるためには従業員のスキルアップは必要不可欠です。
従業員が専門的なスキルを習得することで、業務効率化や新規ビジネス領域へのチャレンジなど仕事の幅が広がります。スキルアップ支援の取り組みとして、資格試験の受験費用補助や、資格取得が実現した場合の昇給アップといったインセンティブの用意などを行うことで、従業員の積極的なスキルアップを促すことができるでしょう。
従業員同士のコミュニケーションが円滑的に行われることで、業務の生産性向上が期待できます。
そのため、積極的に従業員同士がコミュニケーションできる機会を設けましょう。例えば、定期的なランチ会や雑談タイムなどをつくるのはおすすめです。
従業員の働き方に柔軟性を持たせることも重要です。
例えば、リモートワークやフレックスタイムの導入などが挙げられます。このような制度を設けることで、従業員は通勤時間をずらせたり、通勤時間を無くせたりするため、移動時間のストレスから解放され、生産性高くアウトプットが出せるようになります。
当社は、フィールド営業の生産性向上を支援するモバイルCRM・SFA「UPWARD」の開発・提供をしています。「UPWARD」を導入し、生産性向上の取り組みに成功した事例を3つご紹介します。
株式会社クボタは、全国の農家に向けて、農機の販売やメンテナンス、営農の提案などの事業を展開しています。「UPWARD」導入前の業務課題として、フィールド営業スタッフの提案内容が多様化しており、事務作業や管理業務に時間が取られて、顧客訪問のために十分な時間が取れずにいました。「UPWARD」の導入によりクラウド上で報連相が行えるようになったため、営業担当者は営業所での事務作業にとらわれずに、農家の活動時間に合わせて訪問が可能になりました。また、「UPWARD」のMAP機能により、営業担当者の訪問状況を地図上に可視化でき、訪問活動の活性化や効率化につながっています。
事例インタビュー>> 国内販売会社全13社へ導入し顧客接点の質を大幅に向上。 フィールド営業の機動力を取り戻し原点回帰
株式会社クレハは、ラウンダー業務の管理に「UPWARD」を活用した結果、報告時間65%減を実現し、ワークライフバランスも向上という成果につながりました。株式会社クレハの包装材事業部では、店頭での売り場づくりと販売促進を担うラウンダー業務の管理を行っています。既存システムでは、スマートフォンからの入力に適しておらず、担当者は現場での業務完了後に自宅や事務所からパソコンでデータを入力する必要がありました。「UPWARD」導入後、スマートフォンからの活動報告が可能になり、報告時間が平均20分から7分に短縮され、一定の成果を実現しています。
事例インタビュー>> ラウンダーの負荷を軽減し、メーカーと実店舗のコミュニケーションを深化。報告時間65%減でライフワークバランスも向上
ソフィアメディ株式会社は、訪問看護事業を軸に高品質な在宅医療サービスを提供する企業です。メイン業務であるルート訪問に「UPWARD」を導入したことで、どこに訪問し、利用者とどのような話をしたか「見える化」を実現しています。「UPWARD」のMAP機能により、訪問の効率化や「UPWARD AGENT」による報告作業の負担軽減で、営業先への訪問回数が増えるという成果が生まれています。
ソフィアメディ株式会社 事例インタビュー>> 月間面談数150件UP。活動量を最大化しつつ、蓄積されたデータを基盤に「量」から「質」へのシフトに挑む
全社全体での取り組みとなる場合、まずは推進チームを発足させましょう。
バックオフィス部門や営業、マーケティングなど、関連する部門からメンバーを募り、特定の視点に偏らないチームを構築します。特定の部門でメンバーを構築してしまうと、視野が狭くなる可能性があ流ので注意が必要です。プロジェクトを企画・推進した経験があり、現場のことを熟知している人材が、プロジェクトチームに適しています。
次に、自社の生産性を妨げている問題・課題がどこにあるのか、原因と課題を明確化させましょう。
原因と課題を把握したうえで、複数ある場合は課題に対して優先順位をつけます。優先度が決まったら、それぞれの課題に対して1つ1つ適切な解決策を検討していきましょう。
生産性向上の取り組みを行う際は、漠然的に推進させるのではなく、目指すべきゴールを決めましょう。
例えば、「報告書の作成時間を30分削減する」、「資料ダウンロード数を月20件以上増やす」など数字で具体的に掲げられる目標を設定することにより、振り返りがしやすくなります。
ゴールを定義したら、生産性向上の取り組みを行うための具体的なスケジュールを立てましょう。
スケジュールを立てる際はガントチャートなどを作成し、いつまでにどのようなタスクを行うのかを明確化するのがおすすめです。
取り組みの実施後、生産性の向上が進んでいるかどうか、定期的に効果検証しましょう。
定期的に効果検証することで、施策によってどのような効果が得られたのか、必要な改善点なども把握できるようになります。効果検証とプロセスの修正や見直しを繰り返していくことで、新しい気付きが生まれて、より効果的な生産性向上の取り組みにつながるでしょう。
生産性向上に取り組む中で、さまざまな課題に直面するはずです。
しかし、多くの課題を一度に対処しようとすると、突然の大きな変化に現場の従業員がついていけない可能性があります。そのため、「すぐに対処できるもの」「事業へのインパクトが大きいもの」など、優先度を決めて、少しずつ生産性向上の取り組みを行いましょう。
生産性向上の取り組みは施策実施後、すぐに結果が出るものではありません。
そのため、長期的な視点を持ち、変化を恐れず新しい取り組みに積極的にチャレンジしていきましょう。企業経営において、生産性向上の取り組みを継続してきたかどうかが、未来における企業の存亡に大きく影響するでしょう。
生産性向上の取り組みを行う際は、従業員の声を必ず取り入れましょう。
急な方針転換やツールの導入などは従業員の混乱を招くだけでなく、会社への不信にもつながります。プロジェクトチームだけで推進するのではなく、生産性向上が必要な部門の担当者の意見をしっかりと汲み取りながら推進することが望ましいでしょう。
企業が持続的に成長をし続けるためには生産性向上を目指し、従業員が働きやすい環境を整備することが重要です。ぜひ、今回ご紹介した生産性向上の取り組みを実践されてみてください。
また、当社ではモバイルCRM・SFAの「UPWARD」を開発・提供しています。これから、外回り・訪問営業部門の生産性向上を目指していきたいとお考えの場合は、ぜひ当社までお気軽にご連絡ください。
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