クラウド型の顧客管理システムとは?
まず、顧客管理に使えるのは、紙やExcelのほか、「CRM」と呼ばれる「顧客管理システム」があります。顧客の状況や履歴を素早く確認できるように、全ての顧客情報をインターネットのサーバー上に集めて一元管理し、かんたんに可視化するシステムです。この顧客管理システムには、「クラウド型CRM」と「オンプレミス型CRM」の2タイプがあります。
クラウド型CRMは、システムの提供企業(Salesforce、Microsoftなど)が用意したサーバー上に顧客情報が保管されるのが特徴です。利用者は、サーバーにIDやパスワードを用いてアクセスし、顧客情報を確認します。
クラウド型のサービスは基本的に携帯電話料金のような月額料金制で、1ヶ月おきや1年おきなど、任意のタイミングで利用をやめることも可能です。
一方のオンプレミス型CRMは、自社の建物内にサーバーを設置し、顧客管理システムをインストールして運用します。「自社運用」とも呼ばれます。オンプレミス型CRMは、クラウド型CRMとは違って月々の支払いが発生しません。一度、ライセンスを購入すれば、サーバーの管理にしか費用がかからないのが特徴です。
※ ただし後述しますが、オンプレミス型CRMの場合、サーバーの設置や管理の際に、専門知識を持つ人材の雇用や外注などが必須となるため、管理の手間とランニングコストが追加でかかる点に注意が必要です。
クラウド型CRM(顧客管理システム)を導入するメリット
結論から申し上げますと、顧客管理システムを導入/刷新する際は、オンプレミス型・自社運用のCRMよりも、クラウド型CRMがおすすめです。クラウド型CRMを選ぶメリットは6つあります。
メリット1:初期費用を抑えられる
クラウド型CRMはサーバーの設置や管理が不要なため、初期費用を抑えられます。顧客管理システムの月額料金を、使用する人数分支払うだけで、気兼ねなく顧客管理ができます。
試用期間が設けられているサービスの場合は、金銭面のリスクを抑えつつ、継続的に使用するかを判断できます。オンプレミス型CRMと比べると、初期費用の負担とリスクが少ないのがメリットのひとつです。
メリット2:ランニングコストを抑えられる
クラウド型CRMは、オンプレミス型CRMと違って月額料金が発生しますが、結果的にランニングコストを抑えられます。というのは、クラウド型CRMはサーバーの管理や保守をしなくて済むため、月額料金以外の費用の負担が発生しないからです。
たとえば、オンプレミス型CRMでサーバーにトラブルが発生した場合、最優先で修復する必要があります。その際には、人件費や外注費などが発生するため、一時的に大きな負担を強いられることになるでしょう。
クラウド型CRMはサービス提供側が修繕対応してくれるため、トラブルに際した人件費や外注費を抑えられます。つまり、オンプレミス型CRMと比べると、サーバーの管理や保守にかかるランニングコストを抑えられるのです。
メリット3:自社サーバーの構築が不要
自社サーバーの構築には、専門知識を持った人材が必要です。クラウド型CRMであれば、自社サーバーの構築が不要なため、導入のわずらわしさがありません。手軽に顧客管理システムを導入できるのも大きなメリットです。
自社サーバーの場合、構築した後も継続的な管理とメンテナンスをしなければなりません。外注をすると大きな費用がかかるため、導入後の管理はオンプレミス型CRMの大きな課題となります。
また、エンジニア不足が深刻化している昨今、優秀な人材を雇用するのが難しくなっているのも課題のひとつです。担当しているエンジニアが辞める可能性もあるため、中小企業にはオンプレミス型CRMはリスクと負担が大きいと言えるでしょう。
メリット4:導入がしやすい(導入スピードが早い)
クラウド型CRMは、発行されたIDやパスワードを用いて、すでに提供側で用意されたサーバーにアクセスするだけなので、スピーディに導入できます。
多くの顧客がいる場合、迅速な対応力が求められるため、業務に支障が出ないようにスピーディに切り替えることが必要です。クラウド型CMRなら導入スピードが早いので、切り替え時の支障が少なくて済みます。
ただし、導入までにかかる期間はサービスによって異なるので、比較する際はその点もチェックしておきましょう。
メリット5:デバイスを問わずアクセスが可能(マルチデバイス対応)
クラウド型CRMであれば、パソコンだけではなく、タブレットやスマホなど、デバイスを問わず顧客管理システムにアクセスできます。オンプレミス型CRMは自社サーバーを使用するため、セキュリティ上専用の回線などが必要となり、外部からのアクセスが困難です。
クラウド型CRMは、営業担当者が外回りの時に顧客管理システムにアクセスして顧客情報を確認したり、情報を共有したりできるので、オフィス外にいるときでも営業効率が上がります。マルチデバイス対応は、今の時代に即したシームレスな営業活動の実現に必須と言えるでしょう。
メリット6:パソコンが壊れてもデータが失われない
自社サーバーを使用している場合、サーバー用のパソコンが壊れると顧客情報が失われる可能性があります。クラウド型CRMであれば、他社のサーバーにバックアップ付きで保管されているため、データが失われる心配がほとんどありません。
デバイスを紛失したり、破損してデータが取り出せなくなったりしても、クラウド型CRMにデータが残っていれば復元が可能です。顧客データの紛失は大きな損失となるため、リスク回避のためにクラウド型CRMへの乗り換えをおすすめします。
メリット7:セキュリティ対策が万全
一般のオンプレミス型の企業システムは、企業規模や業界ごとにセキュリティ管理にかけるリソース(時間と手間)には限界があります。また、あくまで企業としての目的は「顧客情報を管理すること」になるので、「素晴らしい使いやすさ」や「高いセキュリティ」を実現することは本質的ではなくなり、優先度も下がります。
実際に、「前々から会社の指示でこのシステムを扱わなくちゃいけないけど、パスワードを毎回入れるのが面倒だし、結局中のデータを一度Excelに取り出して利用している」といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
クラウド型の顧客管理システムであれば、提供しているベンダーの使命は「お客様の情報を安全に管理すること」になるため、積極的かつ大規模なセキュリティへの投資が可能です。データセンターを世界中に持っていたり、業界の厳しい標準規格にクリアーしていたりするため、大手企業も多く採用しています。
参考:UPWARDのセキュリティ