ルート営業のきついところ
ルート営業は、新規の飛び込み営業や電話セールスと違い、すでに取引のある顧客を訪問するため「楽」とか、「簡単」と思われがちです。しかし、ルート営業にもきついと感じるシーンは実は多くあります。
たとえば、顧客(取引先の担当者)を選べないことです。たとえ、自分に合わない顧客でも、定期的に訪問し、売上を維持継続することはもちろん、新たに売り上げを作らなければなりません。
また、中には営業パーソンに対して、無理難題を押し付けてきたり、ワガママな要求を言ったりする顧客もいるでしょう。そのような顧客でも、会社にとっては取引を継続している大事なお客様ですから、我慢をしてでも良好な関係を築き、営業としての職責を果たしていくことが必要となります。
そして、ルート営業の多くは、同業他社とのシェア拡大・シェア率での争いや、自社売上比率で他社に対して優勢であることが求められます。ちょっとしたことがきっかけとなり、顧客との信頼関係が崩れてしまうという状況になれば、簡単に他社にシェアを引き渡すことになったり、本来、自社が継続受注するはずであった売上を他社に持っていかれたりする、ということも珍しくありません。
さらに、ルート営業は会社の方針により、ある一定の期間経過後や欠員が出た場合などに、担当顧客の見直しが行われます。その際に、前担当者との成績(売上・伸長率など)を比較されてしまうことが多く、これが少なからずプレッシャーだと感じる人も、少なくないはずです。
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そのほかに、ルート営業は意外に雑務や事務作業が多いことも特徴の一つです。顧客への提案用の資料や会議資料の作成以外にも、見積書や注文伝票の作成などの事務ワークが多くこなさなければなりません。会社によっては、納品や売上金の回収まで担当するルート営業もいます。
これらの事務ワークに追われてしまうと、思うように顧客への訪問ができず、結果、顧客との実質的な接触時間が減ってしまいかねません。当然、計画していたような提案等がなされず、売上を確保することや関係性を維持強化することが、難しくなってしまいます。
訪問回数の減少によって売上が減少する可能性があるため、残業や休日出勤などをして事務ワークなどをこなそうと考え始める営業が出てくるかもしれません。そうすると、体調の悪化や精神的な余裕がなくなってしまう営業も出てくるでしょう。これらが、“ルート営業がきつい“と感じてしまう理由です。
ルート営業の楽しみ(新規開拓と比較した際の相違点)
ここまでは、ルート営業のきついところを紹介してきましたが、ほかの営業職と比較して、楽に感じ楽しめる部分も存在します。
たとえば、ルート営業は訪問先や顧客が決まっているので、原則、新規顧客開拓をすることは稀です。面識のない相手に対しておこなう、電話でのアポ取りや、知らない企業への飛び込み訪問などは、基本的に行いません。ルート営業は、断られる確率の高い新規開拓営業に原則従事しなくてもいいところが、精神的に楽な部分だと言えます。
ルート営業は、顧客への定期訪問がメインの営業活動です。そのため顧客側も、担当のルート営業が定期的に来ることを事前にわかっているので、比較的、すぐに商談のフェーズに入ることができます。新規での営業商談との比較では、同じ時間を使った場合でも、より生産性の高い商談を行えるのがルート営業の良さといえるでしょう。
商談効率化を図りやすい環境が一般的に整っていることも、ルート営業で有効活用すべき点です。世間話や情報収集も顧客との長期でのリレーションという観点からは重要な要素となりますが、営業パーソンとして、売り上げにつながる会話に焦点を絞った効率的な商談の進め方を心掛けましょう。
また、ルート営業では、長期的な関係性の構築と長い期間訪問を行うので、より顧客との信頼関係を築きやすいことも、楽に感じる理由にあげられます。顧客は一般的に、全く素性を知らない営業パーソンから契約をするよりは、すでに付き合いのある信頼を置ける営業パーソンと契約したいものですから。
そのため、顧客との信頼関係がある程度熟成されてくると、 “月の売上目標が厳しいとき”は売り上げの一部を新規の契約などで補填をしてくれたり、思いもよらない大きな案件をアサインしてくれたりといった、顧客に助けられるケースもでてきます。いずれにしても、このような恩恵は、ルート営業と顧客との間の信頼関係があってこそ得られるものです。
ルート営業が持つこうした要素や特性を理解し、営業活動で実践をしていくこと。これこそがルート営業を現状に比べて楽に進めていくことコツとなります。
また、ルート営業は基本的に、自分でスケジュールを管理し一人で行動することが多いため、自分の裁量・ペースで業務を行いたい人には合っているといえるでしょう。上述したようなルート営業の特性を理解した上で、定期的に顧客との折衝を重ねていけば、一定の売上は結果として期待できるので、自分のペースで営業活動を進捗していくことが可能となります。