導入事例|株式会社リプライス

不動産査定業務で類似事例を可視化。“諦めていた”顧客データの参照で査定の質を向上させながらスピードも20%UP

企業名

株式会社リプライス

業種

不動産

企業規模

〜300名

課題

・CRMデータの利活用
・社内のデータ連携強化
・現場のモチベーションアップ
・入力データの質・量改善
・顧客データの一元管理

活用分野

住宅を買い取り・リフォーム・再販するための査定業務

本社所在地

〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄1丁目9−16 NFビルディング3F

URL

牛嶋 孝之氏
牛嶋 孝之氏
代表取締役 社長
山本 昌弘氏
山本 昌弘氏
オペレーションサポート課

不動産の買取~再販を一気通貫で担い、“チームリプライス”で寄り添う営業

牛嶋氏:私たち株式会社リプライスは、再生住宅事業を専業として行なっております。
住み替えや相続など様々な理由で売却に出された中古住宅を仕入れ、リフォームを行なって再生住宅として販売しています。そのままでは設備が古かったり、駐車場や間取りが現代の生活様式に合っていなかったりする物件をリフォームし新たなニーズに合わせることで、売りたいお客様と買いたいお客様を繋げ、「新築」「中古」以外の「再生住宅」という新しい選択肢を提示しています。

牛嶋氏:このような中古住宅買取再販業界において、営業プロセスは各企業によって異なりますが、私たちのように仕入れからリフォーム企画、販売まで一気通貫して行なう営業スタイルは非常に珍しいです。
営業担当者が一つの物件に対し一貫して担当することで会社にノウハウが蓄積され、よりスピーディーに、変化し続ける市場や顧客のニーズにフィットした買取再販を行なうことができるのが特徴です。

山本氏:仕入れやリフォームにおいて、営業をサポートする専門部隊がいるのも特徴の一つです。
仕入れの際には分析課という仕入れのマーケット分析を専門にしたチームが、リフォームの際には商品企画課がリフォームのアドバイザーとして付き添い、チームワークを発揮した営業活動を行なっています。
また、ステークホルダーとしては仲介会社様の存在も大きいです。
私たちのビジネスモデルにおいては自社で製造ができない分、仕入れをいかに安定させるかが非常に大事です。いかに仲介会社様から情報を得て、スピーディーに最適な査定ができるか。中古物件を売却されるお客様は「早く、でもなるべく高く売りたい」というニーズがあります。仲介会社様との連携、また社内のチームワークにより、こういったお客様のニーズに応えられるのは強みです。

牛嶋氏:一口に中古物件といっても、各商品の個別性が非常に強いんです。全く同じ間取り・平米数の物件でもエリアによってリフォームの内容も査定金額も異なりますし、築年数や戸建てかマンションかでも大きく変わります。
各商品の個別性に合わせながら、良いリフォーム企画であること、良い価格設定であること。「良さ」を仮説立てしていくことが非常に重要です。
自分で仕入れ、リフォーム企画を行なった物件に対しての市場の反応を検証し、実際に購入されたお客様の声を聴くことで、 一つ一つの仮説がどういった結果になったのかを確認し、また次の結果に活かせます。
年間で査定件数は20,000件ほどあるのですが、この中の1件1件の経験を血肉にし、より良い販売仮説をいち早く立てることができる。そんなチームであることが、私たちの特長です。

類似性の高い過去事例に素早くアクセスすることが、効率化と査定の質の向上につながる

牛嶋氏:情報を管理するシステムとしてSalesforceとUPWARDを導入した背景には複数ありますが、その中でも今後の事業展開を考えたときに「データの蓄積・利活用をどのように深めていくべきか」という課題を解決したい、という理由が最も大きかったです。

(株式会社リプライスでは2019年にSalesforce、UPWARDを導入。現在は分析課チームでUPWARDを活用している。)

牛嶋氏:これまでは物件ごとに個別のExcelデータを作成し、その先に査定データシステムを連携して査定業務を行なっていました。
データの集約に手間がかかりますし、効率的ではありません。こうした管理方法では検索性・参照性・活用性が低く、社内にある膨大なデータが活用できていないという危機感がありました。
そんな中、経営者としてどういった環境を作っていくべきかを考えたときに、情報を分かりやすく可視化し体系的に管理できるSalesforce、UPWARDは業務改革に欠かせないものでした。

特に分析課は仕入れフェーズにおいて、あらゆる情報を参照しています。
個別性の高い不動産商品であるという性質上、立地条件は大きな要素になります。ある物件を査定するときに、「市区町村が同じだから近隣物件のデータを参照すれば良い」というものではありません。
商業施設との距離や幹線道路への出やすさ、日当たりや坂の有無など、複合的な要素が査定金額に作用します。どのような立地関係にあるのか、周辺環境などを視覚的に把握するには、地図しかありません。
Salesforceの導入前も地図システムは導入していましたが、UPWARDはSalesforceとスムーズに連携できること、Salesforceのデータをタイムリーに把握できることが決め手となり、導入に至りました。

(実際に使用している地図。物件のステータスによって色分けを行ない、類似性の高い物件を視認できるように設計している。)

山本氏:以前まで使用していた地図ツールでは、物件の大きさや築年数といった基本的なデータしか参照できませんでした。その他のデータを集めるために、膨大なExcelシートを探しに行かなければならず、時間との兼ね合いもあり過去事例の深掘りを諦めていたこともありました。
データを探さずとも「実際に購入されたお客様の世帯構成などが分かる 」「市場に出した時の調査結果が分かる」ということは、査定業務の仮説の質において非常に重要です。

牛嶋氏:これまでは断片的にしか情報が得られませんでしたが、価格の設定や改定の記録、購入に至ったエンドユーザー情報までつぶさに見ることができるうえに、地図から類似物件の写真にも容易にアクセスできます。参照できる情報の質・量が導入前と全く異なっていますね。
また、以前は集約することができなかった失注案件にもすぐアクセスできるので、近隣エリアでどういった物件を検討したことがあるのかという査定の記録も同時に参照することができます。こうした情報基盤があることで、競合他社の動きなどを予測することができます。

山本氏:査定業務において大切なのは、いかに類似性が高い過去事例に素早くアクセスできるかどうかです。
立地はもちろんのこと、建物の大きさや、築年数はどれくらいか。これらが分からないまま異なる事例データにアクセスしてしまうと、それだけで生産性が落ちてしまいます。
UPWARDを活用し始めてからは、明らかに査定の質、スピードが速くなり「同じ答えを出すまでの時間」が少なくとも20%ほど削減されたと感じています。
ただ、これまでは諦めていたデータが探しやすくなったことで見たい情報も増えてしまって…極端な話、時間をかけようと思えば延々とできてしまう仕事なので、UPWARDがあることによって諦めがつきにくくなったという側面はあります(笑)。

営業DXへの体制を構築したことで「業務はより良く変えられる」と社員が認識し、定着につながる

牛嶋氏:現在「査定業務の際には絶対にUPWARDを開いている」という声もあるほど、順調にUPWARDを活用できていますが、こうしたシステムを導入するにおいて、現場の声の受け皿を作って、変え続けるということに絶えず挑戦してきました。山本の所属するオペレーションサポート課という専門チームを立ち上げたことも重要な転機となりました。
日常業務において使いやすいツールとして認識してもらえれば、きちんと現場でも定着化が進んでいきます。改善点があったときに対話ができるようなムード作り、変え続けるサイクルがあるということを、仕組みとしても文化としても非常に重視していました。

分析課の仕事は、仕入れ物件の査定対応や市場調査ならびにマーケットフィット、マーケット開拓など多岐に渡りますが、市場分析の結果、価格方針や商品の方向性を変えることも珍しくありません。こうした「実際のお客様の声を聴きながら、再生住宅をマーケットフィットさせていく」という個別性の高い市場を取り扱っているからこそ、社員には業務フローについても受動的になってほしくないという想いが強くあります。
経営理念に「自ら変化を創り出し、変化し続ける」という哲学があるのですが、まさにこの営業DXへの挑戦というのもその一つだったかな、と。  

山本氏:私としては専任でSalesforceとUPWARDの利用推進を課されましたので、部署として必ずこのミッションを遂行しようと集中して取り組むことができました。元々の社内風土として私たちリプライスには、他の企業と比べて業界風習的な習慣を省いていたり、「これってやるべきなんだっけ」「どういう価値に繋がるんだっけ」という意識を社員が持っていたので、それも後押ししました。
私自身「面倒くさい」が口癖なので、私自身が良くしたい、楽になりたいという想いで各社員と目線を合わせて取り組んでいます。「何でこんなツールを使わないといけないんだ」と思われないよう、自分自身が使いやすくあるように構築しているという背景があります。  

牛嶋氏:このプロジェクトを通じて現場からも意見を出してシステムを変える機会が増えているので、業務が与えられたら従うのが当たり前」という認識から脱却できたことを嬉しく思っています。
「協創と自立自走を両立した組織」として、今後もシステムを通じたデータの利活用が進むことで、ボトムアップで変化を拾いながらこのマーケットにフィットしていく、という“リプライスらしさ”を全面的に促進できればと考えております。

業務改革を継続し、より“人の手で行なうべきこと”へリソースを注ぎたい

牛嶋氏:今後も一気通貫でシステムを活用しながら効率化しつつ、空いたリソースを“人の手で行なうべきこと”へ注ぎたいなと考えております。仲介会社様とのコミュニケーションやリフォームの企画、販売での商談対応などに営業がきちんと集中できるような体制を構築していきたいな、と。
システムで効率化した結果、空いたリソースを新しい取り組み推進へシフトさせることで、事業基盤を強化しながら、お客様からも仲介会社様からも「リプライスだから」と選ばれるように。
誰もがより良い生活を送れる世界の実現に向けて、引き続き社員一丸となって進み続けられればと思っております。

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