導入事例|株式会社クボタ
国内販売会社全13社へ導入し顧客接点の質を大幅に向上。フィールド営業の機動力を取り戻し原点回帰
企業名
業種
企業規模
課題
活用分野
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モバイルでも扱いやすい顧客管理システム
―UPWARD導入のきっかけを教えてください。
弊社は全国に販売会社が13社、拠点数としては700拠点あり、全国の農家さん向けに農機の販売やメンテナンス、営農提案等を行なっています。
既存のオンプレミスの環境から、顧客管理システムの刷新・営業のモバイルワーク化を進めるため、セールスフォース・ドットコムのCRM「Force.com」を2016年に取り入れました。ただ、弊社のお客様は通信の整っていない環境にもいらっしゃるため、モバイルでも扱いやすいサービスを探していました。モバイルに慣れていないベテランでも、シンプルで直感的に使えるUPWARDを追加導入しました。
UPWARDを活用した1日の業務のイメージ動画を作成して浸透を図るなど、販売会社とのコミュニケーションを重ね、2020年度に全販売会社への導入を完了しています。
高齢化の進むお客様との関係性をいかに維持しつつ、購買力の高い層へアプローチできるか
―現在貴社が抱えている営業組織の課題は何ですか。
農業技術と農機は大変結びつきが深く、農機の開発・発展に追随する形で、農業技術が成長していきます。販売会社のフィールド営業は「農業技術の普及」、「販売戦略展開の最前線」、「地域社会の一員」という3つの顔を持っています。
高齢化や後継者不足などの影響によって農家の数は年々少なくなっている一方で、購買力の高い経営規模の大きなプロ農家(担い手農家)の方が増えています。未来の日本農業を支えるこの方々が、今の私たちの主要顧客です。
もちろん、プロ農家以外の方である、いわゆる中小規模の農家の方々にも、これまで一緒に日本の農業を支えてきたお客様として関係性を維持していきたい。
日本の農家の大多数を占めるこのような農家の方々との関係性をどのように維持しながら、プロ農家へのリソースを割いていくのか。
それが、私たちが抱えている第一の課題です。
お客様の課題が複雑化しているため、営業の提案のハードルも高くなっている
第二の課題として、農業の多様化や働き方改革によって、そもそも農家さんたちにお会いする時間が取りにくくなってしまっている、というものがあります。
農業は6次産業化している、と言われるように、生産するだけではなく、自分たちで流通や販売も行なっている農家さんが非常に増えてきています。そうなると私たちも生産機械だけではなく、農産物の流通過程において必要となる商材も農家さんたちのニーズに合わせて増やしていく必要があり、フィールド営業スタッフの提案内容も多種多様化しています。
フィールド営業にとって最も重要な仕事はお客様と会って課題を共有し、解決に向けて行動することです。
それが事務作業や管理業務等に時間が割かれ、結果的にお客様に会う時間がなくなってしまうことで生産性の低下を招く要因になっていました。
私たちは、農機を売ることがゴールではなく、むしろスタートだと考えています。希薄になりつつある地域コミュニティの中で、クボタの営業が中心となって横のつながりをリードしたり、農家さん一人一人の課題を解決していくことで日本農業を元気にすることが私たちに求められている役割です。
そのためには、やはりお客様に会いに行く時間を最大限確保することが極めて重要だと感じます。UPWARDを利用することで、もっとお客様にお会いするリソースを増やしつつ、そのリソースを適切に配分していくことを目指しています。
UPWARDの導入で効率化できた3つの事例
―UPWARDを導入したことで、大きく変わったことはありますか。
1:営業所での事務作業にとらわれず、農家さんの活動時間に合わせて訪問できるようになった
これまでは朝礼や日報の確認のため、朝はお仕事をしている農家さんたちを横目に見ながら営業所に出勤しなくてはいけませんでした。UPWARDを利用すればクラウド上で報連相が行えるため、農家さんのもとに直行できるようになり、動き出しが早くなりました。
営業所にスタッフがいなくなったため、最初のうちはマネジメント層から戸惑いの声もありましたが、今ではモバイルでコミュニケーションを取ることが浸透し、より効率的なマネジメントが実現できていると感じています。
2:営業スタッフとサービススタッフの連携が良くなりお客様への対応が速くなった
また、位置情報の連携がし易くなったことも大きなポイントです。これまではお客様の所在や農機の故障場所を把握するのに地図は必要不可欠でした。それがUPWARDで位置情報をもとに、モバイル端末からお客様情報を参照できるようになり、分厚い地図帳やカタログを持ち歩いたり、マネジメントのために情報を印刷した地図に書き込んだりするようなことがなくなりました。
また、フィールド営業スタッフの応援に修理スタッフが行くときに、今まではお客様や営業スタッフのいる位置が分からなかったため、近くの目印になるようなところで待ち合わせをしたりしていましたが、個々が現地へ直行できるようになり、お客様をお待たせする時間を大幅に減らすことができました。
3:お客様への訪問状況を地図上に可視化することで訪問活動の活性化や効率化につながった
重要顧客や推進顧客をUPWARDの地図上に可視化することで、活動の優先順位づけや漏れの防止につながっています。昨今頻発する自然災害で農業被害を被った際は、農家の被害状況をUPWARDでいち早く全社で共有し、復旧するまでフォローするといった使い方もしています。
訪問後や作業後の報告もスムーズになり、他部門や専門部隊からの営業記録も一元管理・ノウハウ蓄積できるので、お客様に対する提案もこれまで以上に良質なものとなっています。
「再現できる部分」は効率化し、「再現できない部分」を人が担う
―今後のフィールド営業の在り方について、どのようにお考えですか。
フィールド営業には、再現できる部分と再現できない部分があります。
再現できる部分については、徹底的にマニュアル化し、定型化されたシンプルな活動にすることで個々にレベルの差が出ないようにします。再現できない部分、つまりお客様の心情を読み取ることや、お客様の望むタイミングで行動を起こすなど、センスを磨くことにフィールド営業スタッフの意識を向けて欲しいと考えています。
デジタル化が進み、一般的には、対面の営業は減っていっているかと存じます。私たちも今後は、ある程度はオンライン上で販売していく割合が増えていくことになると思います。ただ、ラストワンマイルのところ、最後の一押しという部分は、我々の業界においては、これからも残っていくのではないかな、と思います。
―最後にメッセージをお願いします。
お客様の課題も商品も複雑化したいま、モノを売るのはあくまでスタートで、そこから先が重要です。農村コミュニティをリードしていくことや、お客様と一緒に汗を流しながら課題を解決していくことは、システムでは再現できないこと。それはつまり、『日本の農業の発展を担うこと』だと、私は考えています。
人でしか発揮することのできない、ラストワンマイルの価値。この実現のために、UPWARDの機能が役立つことを、私たちはこれからも期待しています。