導入事例|トヨタカローラ秋田株式会社
闇雲な飛び込み営業から一転。地図による顧客の可視化と活動記録で「攻め」と「守り」の営業を両立
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仕組み化が追い付かず、“気持ち次第”になってしまっていた法人営業
ー貴社の営業活動について教えてください。
吉田氏:トヨタカローラ秋田は、秋田県エリアでトヨタ車の販売、リース、整備などを行なう販売店です。これまで個人のお客様への販売が中心でしたが、2年ほど前から法人営業にも注力する方針に変わり、取引先をどんどん増やしていこうとしています。
秋田県は緩やかに人口が減少しているという背景もあり、対個人のお客様だけでは業績を伸ばし続けるのが難しい。「会社としてどう成り立たせていくのか」を考えていくと、法人営業はものすごくポテンシャルが大きいと考えています。秋田全体で、私たちに関連しているものを利用されている、という方を一人でも多く増やしていくのが、法人営業部の掲げるミッションです。
後藤氏:法人営業への注力にあたり、まずは“足で稼ぐ”ことから始めました。外に出て営業活動をしているとき、目に入った会社で「ここは可能性がありそうだな」という会社に飛び込み営業をします。
ただ、私たちも新規開拓だけしていれば良いという訳ではなく、既に担当しているお客様のフォローであったり、卸売なので整備工場やモーター店へのフォローも毎日必要だったりします。最低限必ず1日1件は新規のお客様を訪問しよう、とルールを決めていても、やはり時間が取れなかったり、「どこに訪問しようかな」と悩んでいるうちに次のアポイントの時間になってしまったりと、いわゆる“気持ち次第”での開拓となってしまい、なかなか決めた通りにはいきませんでした。
法人の場合だと、3~5年ごとに車を買い替えるサイクルがあったりしますが、「毎月1回は訪問しよう」というのが守れないと簡単に競合他社に取られてしまいます。でも「いつ、誰が、どこに訪問したか」を効率的に残す方法がなかったので、帰社してから日報を打ち込んで、紙に出力して、ファイリングして…という事務的な手間を何重にもかけていました。しかもその結果、ファイルから探している情報を見つけるのも一苦労だったんです。
さらに、1日に何社も回るので、帰社してからだと話した内容などを忘れてしまうことも多くて。前回いつ訪問したかも、どんな話をしたかも、各スタッフの頭の中にしかない状況でした。飛び込み営業をした先が既に他のスタッフが訪問済みだった上に、別のトヨタ系企業の得意先だったりしたことも。全く効率的とは言えなかったですね。
吉田氏:トヨタグループ全体で利用している基幹システムは、あくまでもBtoC向けの仕様になっていて…。法人営業をきちんと稼働させたかったものの、システムをうまく活用することができず、結局紙の管理でスタッフに任せっきりになってしまっていました。
そこで、Salesforceと連携して顧客情報を地図上に表示したり、活動の記録ができるUPWARDを導入することにしました。闇雲にただ訪問して回るよりは、効率良くできるんじゃないかと。あとはきちんと活動を残すことで、ノウハウもたまっていくのではないかという狙いもありました。今すぐ成果が出なかったとしても、顧客情報を蓄積していくことで何か見えてくるものがある。紙だと、参照性も悪いですし分析も出来ないので。
地図で行くべきお客様先が分かる、忘れないうちに報告もできる
後藤氏:UPWARDを導入してからは、地図上に秋田県の企業情報を反映してもらったため、飛び込みではなく事前に計画を立てて新規開拓が出来るようになりました。まだ訪問していない企業は黄色い丸で地図に表示されるので、それらをどんどん塗り替えていきます。事前にどこにどういった会社があるのか分かるので、効率的になりました。やはり運転しながら目に入る法人を探すというのは至難の業でしたからね。事前にどこに行くか決められるというのが一番便利です。
後藤氏:開拓先とのコミュニケーションも変わりました。今まではどんな会社かも分からずに飛び込んでいたので会話につまずいてしまうこともありましたが、今は事前にどんな会社かをインプットしてから話せるので営業しやすくなりましたね。
1日に訪問できる件数としては6件前後なので、毎日2件はなるべく新規開拓ができるように組んでいます。残り4件は既存のお客様へのフォローで、これも地図上に最終訪問日からの日数が空けば空くほど、丸が大きく表示されるようになるので「あ、ここに行かなくちゃ」とすぐ気付きに繋がります。新規開拓先は、その近くで回ることが多いです。“気持ち次第”ではなく計画的・効率的に回れるようになり、感覚値としても既存顧客へのカバー率や新規の開拓先が増えてきたなと感じています。きちんと行く当てがあるというのは、モチベーションが全然違いますね。
また、活動の報告もとても楽になりました。位置情報をもとに、きちんと現地で活動の開始・終了時間を残せ、商談後の報告は忘れないうちにすぐに車の中で実施できるようになりました。いただいた名刺はSansanのScan to Salesforceで読み込み、正確な情報と活動結果を紐づけられます。
紙で管理していた頃よりもずっと無駄がなくなり、非常に良いシステムだと思っています。
長く使えるものはシンプルに。知恵を出し合いながら“みんなで作る”システム
吉田氏:導入にあたって意識したのは、とにかくシンプルに運用することです。私は面倒くさいことがすごく嫌いなので、スタッフにとって面倒くさいものは作りたくなかった。あと、長く使えるものって、そういうものかなと思っていて。SalesforceもUPWARDも最小限の機能からスタートしました。運用の開始まで、そんなに時間もかからなかったです。
まずは、地図上で計画を立ててみよう。それができるようになったら、訪問後はその場で報告しよう。そんな感じで、段階的に使える機能を増やしていきました。そうすると使いながら「こういうこともできるの?」「こんな風にしてほしい」といった声が自然と出てくるので、そのリクエストに応じて都度アップデートしていっています。
もちろん、フルパッケージで「こんなのできました!」と渡すこともできましたが、「使うのは誰?」という意識は外しちゃいけないな、と。導入以来、毎月UPWARD勉強会も開催していますが、私が出たのは最初の1回だけで、あとは後藤さんが仕切ってくれているよね。
後藤氏:そうですね。秋田県の場合、県北・中央・県南とエリアが広くスタッフ同士で顔を合わせる機会がなかなかないので、月に1回全体で集まるコミュニケーションの場としても活用しています。めいめいがUPWARDについて分からない点や意思統一が必要な点なんかを確認しながら、ワイワイガヤガヤと進めていますね。
出てくる疑問は本当に「ちょっと」したことなんですけど、その「ちょっと」が重なることで簡単に使わなくなっちゃうので、それは避けたいなと。
実際にみんなで使い出して、情報が蓄積されてきて良かった点としては、「行っても無駄な場所」が分かるようになったことです。他社さんと長いお付き合いがあったり、明らかな強い拒否反応があったり。そうでないところは「次回訪問可」のステータスにすると黄色からオレンジに色が変わるので、また訪問できます。無駄な再訪問が省かれること、オレンジがだんだん増えていくことで、心理的な負荷も大きく変わりました。
みんなでしっかりと使うことで、営業がグッとやりやすくなるんだよ、みんな楽になるんだよ、ということを、今後もしっかりと伝えられればいいなと考えています。
吉田氏:個人単位でなく、全体で情報の蓄積を自分ごとに落とし込んでいかないといけないですね。
ちなみに、トヨタグループの販売店でUPWARDを利用しているのは私たちだけですが、いま私たちは物事がうまく進んだので、他の販売店にもノウハウを共有出来たらいいのかな、とも考えています。最初に手を上げるのは難しいですが、こういうのは「やったもん勝ち」みたいなところもありますね。
実際の効果については、新規獲得数や既存顧客のフォロー率は感覚値としては確かにあるものの、数値として明らかになるのはもう少し先かなと。紙で管理していた頃の情報を正確に捉えられていたわけじゃないので、今後UPWARDを使いながら、しっかりと同じ条件で1年、2年と回して測定して、増えたよね、と言えるのではないかなと思っています。
のんびりしているように捉えられてしまうかもしれませんが、入力件数を測ったり、過去のデータを思い出して入れさせるのも、本質的じゃないなと思っていて。“やらされ感”を持たず、みんなが自然に最新の情報を入れるシステムに出来ればいい。使い方として色々型はありますが、基本的にはスタッフに自由に使ってもらって、継続して何年も使ってみて、成果を見ていきたいですね。
もっともっと営業を“楽”にしていきたい
ー今後の営業活動における展望を教えてください。
後藤氏:同じグループの会社も含めて、もっとみんなにUPWARDを活用してもらって、“底上げ”できるといいなと考えています。口頭で情報を共有するのも大事だけど、持っている情報をシステムに全て入れれば、無駄が減らせる。あらかじめ「ここは私の担当法人だよ」「ここは他社と長いお付き合いがあるよ」といったことをしっかり記録できていれば、各営業マンがより楽に、より効率的に回れるようになるんじゃないかな、と。
吉田氏:とにかく無駄をもっと減らして、もっともっと楽に、営業活動をしてほしいですね。今の時点ですごく簡単にはなってきたものの、まだ話を聞いていると入力の導線がバラバラだったりもするので。
できれば、「営業はここだけ見ればいいんだよ」という状態にして、あとは全て顧客接点の時間に充てて欲しい。事務作業の時間をどんどん短縮していけば、1日6件だったものが、7件回れるようになる。それだけ、「ここだけ見ていれば間違いないから、商談に集中できる」と信用されるシステムを構築していきたいです。