企業の売上拡大や組織成長を目指す際に取り組むべき課題のひとつが、営業部門における属人化の解消です。本記事では、営業における属人化に注目し、その発生原因や対策方法について包括的に解説していきます。組織全体の脱属人化を実現するためにぜひ参考にしてみてください。
営業の属人化が起こる原因と7つの解決策を徹底解説
営業の属人化とは?
営業の属人化とは、顧客との商談や業務活動に関するプロセスやノウハウがチームや組織に共有されず、個人のスキルや人間関係に大きく依存する状況を指します。
これは、特定の営業担当者が持つ独特のスキルや人間関係が企業全体の営業活動への影響を大きく左右することを意味します。
営業の属人化した状態の組織では、営業の成果が各営業担当者のスキルや人間関係によって大幅に変わってしまうため、チーム全体として安定した成果を上げることが難しくなります。組織としての営業力の向上や成果の安定化には、属人化の解消が必要となります。
営業の属人化が起こる原因
まずは営業の属人化が起こってしまう原因を整理していきましょう。
属人化の原因は主に、「組織」と「個人」の問題の2つに分けられます。
「組織」の問題
現場任せの営業スタイル
現場のセールスパーソンに営業手法を任せてしまう組織では、営業活動の再現性が作れず、その結果、営業の属人化が発生してしまいます。これはトップセールスに依存した状態を生み出し、結果的に将来の売上や収益の最大化が困難になります。
組織全体で目標達成する意識がない
組織全体で営業目標を持ち、その達成のためにメンバー間の協力が重視される風土があれば、営業の属人化は最小限に抑えられます。しかし、営業チーム内で目標達成意識が高まらない場合、社員は顧客情報を積極的に報告する必要性を感じず、結果として営業の属人化を引き起こします。
「個人」の問題
営業ノウハウや成功パターンの共有に消極的
インセンティブの支給や昇給・昇進が営業成績に依存しているほど、社員は社内メンバーに営業成績で負けたくないという心理が強くなります。そのため、営業ノウハウや成功事例を社内に展開しようと考えなくなってしまい、組織全体で営業の属人化を生んでしまいます。
ミスを隠し、自分の立場を守りたい
社内で情報を共有するということは、営業活動の中で起こるミスやクレームも共有することになります。
しかし、情報を共有する社風がない場合、自分の評価を下げるミスやクレームを隠すことで、自分の立場を守りたいという心理が強くなります。この結果、営業の属人化が進行してしまいます。
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営業の属人化によって起こる問題
営業の属人性が放置されると、組織全体に悪影響を及ぼすことがよくあります。
具体的には、以下の6つの問題が考えられます。
営業成績にばらつきが起こる
属人的な営業組織では、個々のスキルや経験に大きく依存してしまうため、営業成績のばらつきが大きくなりがちです。その結果、組織全体の安定した収益が得られなくなる可能性があります。
トップセールスに頼り切った営業組織になる
営業成績が優れているトップセールスに過度に依存する組織が形成されると、その営業担当者が退職した際に組織全体の営業力が著しく低下するリスクが増します。ま
た、他の営業メンバーが自分たちの力を十分に発揮できない状況も生じることがあります。
顧客データを利活用できない
日々の営業活動で得られる顧客データは、売上・収益の最大化を目指す上で企業にとって貴重な資産です。
しかし、営業の属人化が起こっている状態では、商談で得た顧客情報がブラックボックス化された状態になります。しかし、営業の属人化が進んでいる状態では、商談で得た顧客情報がブラックボックス化し、営業組織全体でデータを活用した商談成功パターンの発見や営業戦略の策定が難しくなります。
そのため、競合他社に対する競争力が低下する恐れがあります。
顧客情報がサイロ化してしまい適切なアプローチが行えない
社員がそれぞれが顧客情報を独占的に管理していると、顧客情報のサイロ化が進みます。
例えば、あるセールスパーソンが営業活動を行い、営業のお断りをもらっているにもかかわらず別の部署の担当者が再度営業活動を行った場合、企業の信頼を損ねるといった問題にもなりかねません。
営業情報のサイロ化は企業の信頼性を損なうだけでなく、売上の機会損失にも繋がる可能性があります。
引き継ぎ業務の負担が増える
転職が一般的となっている現代において、引き継ぎ業務を効率的に行える体制を構築することが重要です。
しかし、営業組織内が属人化した状態だと、引き継ぎ担当者が引き継ぎ内容について案件担当者へ逐一ヒアリングを行い作業を進めなければなりません。
その結果、膨大な時間がかかるだけでなく、退職前に本来聞いておくべきだったことを聞き逃す可能性も十分あり得ます。
最悪の場合、引き継ぎが十分に行わず、お客様からのクレームや機会損失が生まれてしまいます。
新人が育たない
データベースやCRM・SFA上に過去の商談履歴や成功・失敗事例がオープンに閲覧できる状態であれば、新人営業担当者はこれらの情報をもとに顧客理解を深め、早期に即戦力として活躍できる可能性が高まります。
しかし、営業組織が属人化していると、先輩社員の勘に頼ったアドバイスを受けるしかなく、新人の成長が遅れるだけでなく、モチベーションの低下にも繋がります。
営業の属人化を防ぐ解決策7選
営業の属人化問題を解決し、組織全体の営業力を向上させるためには、次の7つの方法が有効です。
1.情報共有の仕組みを整備
営業活動で得られる顧客データを組織内で共有することが、属人化を防ぐ上で必要不可欠です。
具体的な方法として、情報共有が容易なシステムの導入や定期的なチームミーティングを設けることが挙げられます。これにより、個々の営業担当者が独自の情報を持たず、他のメンバーとも共有することが可能になります。
また、成約率を向上させる営業手法やトークスクリプトなどの情報も共有化されることで、組織全体の営業力が向上します。
2.営業組織の目標を明確化
組織全体で共有する目標を設定することで、チーム一体感が生まれ、営業成果達成のモチベーション向上につながります。チーム全体が目標達成に励む環境では、営業ノウハウや問題対処の情報共有が積極的に行われ、組織全体が強化されます。目標設定時には、現実的で達成可能な目標を立て、状況に応じて柔軟に修正することが重要です。
3.営業プロセスを型化
営業プロセスを標準化することで、営業担当者間の取り組み方や知識のバラつきを防ぐことができます。
また、営業マニュアルやチェックリストを作成し、全営業員に統一した手法で営業活動を行わせることで、営業スキルのムラを減らすことができます。これらの取り組みを通じて、営業の属人化問題を解消し、組織全体の営業力を向上させることが期待できます。
4.営業プロセスの可視化と共有
営業活動の効率化と成功率向上のためには、営業プロセスを明確にし、そのプロセスを組織内で共有することが重要です。営業担当者の活動や案件の進行状況が一目でわかることで、問題点やボトルネックが明らかになり、営業業務の脱属人化が進むでしょう。
具体的な状況としては、以下のようなケースが考えられます。
- 営業担当者間で、案件の商談化率や受注率にばらつきがある場合
このような場合、営業プロセスの中に何らかの問題が潜んでいる可能性が高いです。プロセスの可視化と共有化により、問題に対処し、改善策を実行することで、組織全体の営業力を向上させることができるでしょう。
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5.評価制度の見直し
従業員の行動や意識に影響を与える評価制度は、営業業務の脱属人化を進める上で大きな役割を果たします。組織全体で評価制度を見直し、新たな評価基準を設けることで、より良い結果が期待できます。
売上や取引数などの定量的な指標だけでなく、以下のような定性的な評価基準も考慮することが望ましいです。
- チーム目標の達成度
- チーム成長への貢献度
- チーム内コミュニケーションの取り組み状況
これにより、従業員は協力し合いながら目標達成を目指す環境が整い、営業業務の脱属人化が促進されます。
6.情報共有を重視する企業風土の育成
情報共有を重視する企業風土は、営業の属人性問題を根本的に解決するための鍵となります。経営陣や上司が率先して情報共有の重要性を理解し、社内コミュニケーションを積極的に行うことで、営業担当者も情報共有の習慣を身につけることができるでしょう。
7.ITツールの導入
ITツールを導入することで、営業活動の効率化や属人問題の解消が見込まれます。
例えば、顧客管理(CRM)システムや営業活動を管理・分析するためのツールを利用することで、情報を効率的に管理し、営業担当者間で情報の透明性が向上します。この結果、営業業務の脱属人化を実現することができるでしょう。
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営業の脱属人化に効果的な営業DXツール、CRMとは?
営業の脱属人化に向けて、効果の高い施策が顧客情報を一括で管理・共有できる「CRM」の導入です。
CRMとは、「顧客関係管理」(Customer Relationship Management)の略で顧客管理専用のツールです。
日本ではいわゆる「顧客管理をするためのシステム」を指しています。
CRMでは顧客の年齢・所在地・過去の取引履歴・Webサイトへの訪問回数・問い合わせ履歴といったような定量的な情報だけでなく、顧客のニーズ・要望・意見、ときにはクレームといった定性的な情報まで、あらゆる顧客情報を蓄積し、一元管理・共有します。そして、その管理された情報を元に、それぞれの属性別に顧客の課題や要望を分析し、それぞれの顧客にあったサービスや商品の提供を実現し、満足度を高めます。顧客ごとのLTV(顧客生涯価値)を上げていくことが、最終的に利益の最大化に繋がります。
上記のグラフを見てわかるように、CRMの普及率は過去10年間で企業の導入率が3倍にも伸び、業界業種問わず様々な企業での導入が推進されています。
CRMの導入に成功した企業の事例はこちらからご確認いただけます。
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CRMを導入したものの、多くの企業で使いこなせていないのが現状
年々多くの企業でCRMの導入が進んでいますが、実はほとんどの企業でCRMの活用が上手くいっていないのが現状です。
上記の表は「営業活動の記録を行わない理由」を当社が独自調査したものです。
実態としては、CRMは導入しているものの、「データの入力に手間がかかる」「データを入力する必要性を感じない」といった現場の声が多いのが現状です。 データが入力されていないとCRMへ顧客情報が蓄積されないため、CRMとしての機能を十分に発揮することができず、営業の属人化が解消されません。
また、データ入力は目的ではなくあくまでもプロセスです。
データ入力が完了したとしても顧客データの活用し現場の行動が Before Afterで変わらない限り、売上の最大化には繋がりません。 以上の調査結果から、CRMの選定基準として機能が豊富な点や細かいマーケティングデータを取得できるといった点だけでなく、現場の担当者が入力しやすく、簡単にデータ入力の定着化が実現できるようなCRMを選定する必要があります。
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CRMならデータ入力が簡単で定着化しやすいUPWARDがおすすめ
当社ではCRM・SFAの価値を最大化する営業DXツール「UPWARD」の提供および開発を行っています。
「UPWARD」を活用することで、スマホ一つで簡単にお客様のプロファイル情報、商談履歴、活動報告等の顧客データを半自動的にCRMへ蓄積します。現場の担当者が営業日報や活動報告を作成する際は「UPWARD」上に自動で報告フォーマットが作成されるだけでなく、音声入力対応により、スキマ時間に簡単に報告が可能です。
日々入力されるデータは地図上で可視化され、次に訪問すべき顧客が直感的に分かります。いつもの「行きやすい先」ではなく、本当に「行くべき先」へ 、戦略的な訪問活動が誰でも可能です。
より詳細な情報については下記URLからサービス資料をダウンロードいただけます。
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おわりに
営業の属人化を放置しておくと、組織に様々な悪影響をもたらします。
企業が成長する上でも今回ご紹介した解決策をぜひ取り入れてみてください。 組織でDXが進んでいない場合は、CRMなどのDXツールを導入し情報を蓄積することで、大きな成果をもたらします。 ぜひ今回の記事を参考に営業の脱属人化に向けたアクションをしていただけると幸いです。