金木: このたびはお越しいただき、ありがとうございます。今回は今注目を集めているセールスイネーブルメント、セールスエンゲージメント という2つの側面から、営業組織の再現性確保 をテーマにお話しできればと思います。 早速ですが、私たちがこれまで見てきた“セールス”の領域において、コロナ禍 を経て様々な問題点が出てきています。一人一人の生産性 や創造性 が失われつつあると言いますか、今営業成績が良い人 や、かつて良かったベテランと言われる人たち との世代交代 が起きていて、労働生産性が中々上がってきません。 そんな中、貴社ではセールスイネーブルメント をテーマに営業の仕組み化 、メソッド化を中心に取り組んでいるかと思いますが、今どのようなお考えをお持ちでしょうか?
今井: ご質問ありがとうございます。営業組織の抱える課題は、コロナ禍によって変化したというより、変化のスピード が変わったのかなと捉えています。コロナ前からオンライン商談はありましたし、感染症の流行によって変わったのはあくまで「お客様の買い方 」で、それによって最適なコミュニケーション方法 というものが非常に流動的 になりました。 ただ、本質的な部分 は変わりません。正しいお客様 に、正しい課題設定 をして、正しく提案 ができれば買っていただける。コロナ禍を経て関心が高まったのは、お客様の見つけ方や課題設定の方法、そして提案の方法を、いかにテクノロジー も上手く活用しながら向き合い、コミュニケーション を最適化 させていくのか。そこがキーになっています。 リモートワークが拡がって、在宅勤務中に上司にすぐ聞けなかったり、自分が今抱えている問題の答えを誰も持っていなかったり… こういった状況下でも、セールスイネーブルメントを通じて、データを起点に事実に基づいて仕組み化 することで、共通言語 でコミュニケーションが取れるようにする。こうした「売れる仕組み作り 」というのが、僕らの取り組むセールスイネーブルメントでのアプローチです。
金木: なるほど。顧客解像度 といいますか、お客様に対しての理解度、解像度が粗い人 たちが、リモートワーク下でやはりコミュニケーションの課題を抱えているように見受けられますね。 「売れる仕組み作り」ということで、具体的にはどのような事業を行なわれているのでしょうか?
今井: セレブリックスは今年で24期目を迎え、特に法人営業における収益を高めるための営業機能 を提供しています。代表的な事業は営業代行で、THE MODEL型での活動を一部代行 するような形で、電話をかけたり商品を提案してクロージングまで持って行ったり、カスタマーサクセスやアップセル、クロスセルまで幅広く担当しています。 僕らのコアは、営業の技術 。24年間の代行事業を通じて、12,000件を超える商品・サービス を代わりに売ったり、売り方を考えてきたので、日本で一番成功体験と失敗体験 を有しています。そのためコンサルティングを始め、オリジナルの営業メソッド やマニュアルの制作、営業戦略 の壁打ち相手や研修なんかも手掛けています。 海外では営業という仕事が分業化・細分化されていて、かつ花形 です。LinkedIn 発表の人気職業 ランキングを見てみると、「エンゲージメントリード (顧客との関係性構築&プロジェクト推進の責任者)」や「エンタープライズアカウントマネージャー (大手企業を攻略する専門の営業マネージャー)」といった、より専門性の高いポジション が注目されています。 でも、日本だとこれらの呼び方はあくまで営業マネージャー で一括り。更には、あまり人気の職種とも言い難く、国内では人材採用も大変 です。そこで、企業の得意とする部分、専門性がより必要な部分は自社で賄いつつ、苦手なプロセスにおいては僕らのようなアウトソーシング に任せてしまう、というのはストレスが少ない世界 なのかなと考えています。
金木: 企業価値や商材の異なるものの支援はハードかと思いますが、苦手な分野を合理的にオペレーションできる 、という考え方・手法は、今後も引き続き注目を集めていきそうですね。 対して僕らの事業では、フィールドセールス向けのモバイルサービス「UPWARD」 を開発・販売しています。今は大手企業を中心に約300社に導入されていて、SalesforceやMicrosoftといったCRMと連携したフロントエンドアプリ として、セールスエンゲージメントを支援する 、という文脈です。 売上に直結する営業現場の目線 で開発されたプロダクトなので、IT化 やDX をやりたいと思いつつ、リテラシー がまだ追いついていないという企業でも、UPWARDで支援ができれば確実に成果に繋げられる、というのが強みになります。
今井: 外回りの営業だと、出先で複雑なシステムに入力 したり、わざわざ日報のために帰社 したり…となるとリソースが圧迫されてしまうから、CRMへの入力を楽にするためのツール ということでしょうか? つまりは営業担当者がお客様 と向き合い、余計な事務作業 が要らなくなるという世界観ですね。
担い手不足の時代に 営業組織はどう対応すべきか?
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サービスご紹介資料
「UPWARD」のより詳細な情報をご紹介しています。
金木: CRMというのはあくまでデータベースの役割ですので、そこにユーザーの色々なチャネル(電話、訪問、メールなど)における活動をできるだけ自動的に、簡単に入れていきたいな、と。そしてその自動で入ったデータから、良いインサイトを個別最適化された形式で返していく。 営業担当者に、余計なストレスを与えない仕組みにしたいんです。営業担当者って本来魅力的で創造性が高い人たちだから、お客様との時間、顧客接点によりフォーカスしてもらうことでパフォーマンスもどんどん上がっていきます。 なので僕らは、「現場のラストワンマイルを革新する」というミッションのもと、サービスを展開しています。
今井: お互いの事業に共通して言えるビジョンは、営業担当者がもっと魅力的になるような手助けをする存在であるということですね。効率化をすれば、時間を作れてお客様への提案の準備とか思いやりの時間に充てられますし、良い提案を続けていれば自然と関わるお客様も増えていきます。またお客様から好かれることで、より仕事が好きになったり、成績も上がっていけば会社も潤って、どんどんポジティブなループが回っていきます。 この辺り、きっと似たような世界観をお話していますね(笑)。
金木: そうですね。人材がうまく活躍できたり、現場で成果を出していく…という部分は、コロナ禍で特に苦労されていた会社が多かったのではないかなと思います。 環境が変化していっても、売上を上げられる人は上げられるし、上げられない人はむしろもっと落ち込んでしまう…。勝ちパターンの共有や、組織としての「再現性」という部分ではまだ上手くいっていない部分があるかと思います。 後編では、この辺りの再現性確保のための「型」作りと、営業の創造性についても深掘りさせてください。