今、求められる“営業DXのカタチ” – CRMの現場活用が変革をもたらす –
金木:浦野さん、このたびはオフィスまでお越しいただきありがとうございます。
様々な社会情勢を背景に営業DXが注目を集める中、この対談を通じて改めて我々の連携についてお話しできればと思います。
浦野:改めまして、セールスフォース・ジャパンにて専務執行役員ならびにアライアンスのトップを務めております、浦野です。
私は日本IBMで営業を経験し、セールスフォースに入社してからもダイレクトセールスを担当し、昨年まで金融、公共、製造業のお客様を中心に営業活動をしてまいりました。本日は営業DXがテーマということで、ここのご支援についてぜひ連携を深めたく、どうぞよろしくお願いいたします。
金木:製造業や金融業…まさに、私たちのサービスのお引き合いが多い業界ですね。
実は、セールスフォースとUPWARDには長い歴史があります。貴社のISVパートナー(※1)になったのがもう10年以上前になりますね。UPWARDは当初、SalesforceのCRMと地図を連携させたロケーションインテリジェンス(※2)のアプリケーションとして誕生しました。
(※1)ISVパートナー… Independent Software Vendorの略。Salesforceのプラットフォームを活用し自社開発を行なう独立系ソフト開発会社のこと
(※2)ロケーションインテリジェンス… 企業が持つ顧客情報などと地理空間情報を結び付けて視覚化し、意思決定に活用すること
2021年には地図の連携のみならず、欧米でも注目されている“セールスエンゲージメント”の領域でより高度なアプリケーションソリューションとしてサービスを展開し始めました。
これまで提供していたSalesforce内のデータを地図へ可視化する機能に加え、位置情報技術を活用して現場のセールスパーソンの顧客接点データをタイムリーにCRMへ記録し、セールスエンゲージメントを支援する、といったことに取り組んでいます。
顧客の変化に応じたビジネスプロセスの変革
浦野:直近営業DXについて経営層の方とお話しすると、やはり危機感は皆さん持たれていますね。根底には、「ビジネスプロセスそのものを変えてなくてはいけない」という意識があります。
時代の変化に応じてお客様の購買パターンが変わり、情報を獲得するスピードも圧倒的に速くなっています。メーカーよりも先にコンシューマーが情報を獲得していることもありますので、従来通りの営業のやり方では通用しないことが増えてきています。
そこで私たちは、デジタルマーケティングによる営業のオンライン化や、そこに伴うインサイドセールスという仕組みなどのご提案を行なってきました。お客様の購買行動に合わせるために、「まずはCRMを入れなくてはいけない」「インサイドセールスにチャレンジしよう」「デジタルマーケティングも必須だ」という傾向が一気に加速したのが、このコロナ禍での2年間だと認識しています。
金木:今までだとCRMを「導入」するのみで終わっていたお客様がほとんどだったのが、デジタルマーケティングなどできちんと「活用」を意識されるお客様が増えてきた印象がありますね。
浦野:あとは、特に製造業ですとまだまだ電話やEメール、Faxでオーダーを受けているような環境もあるので、生産性にも課題がありますね。
金木:アセットがすべて会社にあるのでリモートワークができない、といった声はよく散見されますね。
浦野:こうした流れの中で、BtoBコマースのようなオンライン上でオーダーを受け入れるような環境を作っていこうとする動きも見られます。やはり時代や顧客の変化に合わせて、いち早くより良い仕組みを取り入れていくデジタル変革が重要になっていますね。
CRMを現場で有効活用するために
金木:Salesforceのプラットフォームって、ものすごくパワフルですよね。しかし、実際の営業現場を見てみるとそのパワフルさを活かしきれていないというのが現状です。
浦野:そうですね、経営層が大きな青写真を描いて導入するものの、現場から入力されないことに悩んでいるお客様はたくさんいらっしゃいます。
CRM導入における投資対効果では、正確なデータをもとにして「どんなプロセスであれば売上・利益貢献、引いては社会貢献ができるのか」が見えてくることがポイントです。DDDM(Data Driven Decision Making)という、経営層だけでなく現場でも正確なデータを見て意思決定できる、データを活用しながら仕事ができる、という状態。これを私たちは目指しています。
しかし、この考え方を全社員にご理解いただくのは非常に難しい。CRMに入れるデータはどうしても「人の手」で入れるというプロセスが入るものなので、これがもし正確でないデータであれば、ビジネスは上手く回りません。
金木:データの正確性や現場での活用という観点では、僕らのようなアプリケーションプロバイダーがSalesforceを使いやすくする、という方向性はいかがでしょうか。
浦野:そうですね。UPWARDを通じて、スマートフォンと連携して「どこに行ったのか」が自動記録され、ワンタップで反映される。そうしてデータの正確性を挙げながら、現場サイドの入力するメリットとして個別最適化された有益な情報、営業活動がしやすくなるようなデータを提供し、更に地図を使って活動しやすくして生産性を高くする… この現場サイドとマネジメントサイド、両面が重要なんだろうなと思います。
担い手不足の時代に
営業組織はどう対応すべきか?
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サービスご紹介資料
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日本のSaaS市場の未来
金木:国内SaaS市場ですが、現在では8,000-9,000億円規模であるものが将来的には10兆円規模まで伸びていくと言われています。
浦野さんは長年のセールスフォースにおけるキャリアの中で、日本のソフトウェアが段々とSaaSに変わっていく過程を見られていたと思うのですが、やはり今後も大きくなっていくと肌で感じていらっしゃいますか。
浦野:はい、拡がっていくと思います。
私が入社したころは、そもそもインサイドセールスやカスタマーサクセスという仕事はまだ国内にありませんでした。今や当たり前のようにインサイドセールスの組織があり、デジタルマーケティング機能を通じてホットリードからアプローチできる、という世界になりました。
私たちが今考えているマーケットや仕組みから、より広大なマーケットと新たな仕事が、今まさにこの瞬間にもできつつあるのではないかと考えています。
金木:本当に目まぐるしく時代が変わっていますよね。
浦野さんとは同世代ですが、スマートフォンで業務を行なうなんて考えられなかったくらいですから。僕も20年前は、BlackBerry向けのSalesforceを使って売っていました。
浦野:ああ、2002年は私もBlackBerry使っていましたね!
金木:当時は画期的でしたけど、今考えるとすごくレスポンス遅かったですよね(笑)。
そう考えると、今僕らがやっているフィールドセールス現場の領域というのは、既にスマートフォンからビジネスデータを見て、クラウドに繋げてデータを入力するというのはもう当たり前になっている。こうしたデバイスの進化も、マーケットを拡張している理由の一つですね。
僕らはモバイルデバイスを活用して、顧客接点を活動データとして自動取得していきたいなと思っています。それがいかに商談に結び付いたのか、お客様の満足度に繋がったのかを可視化したいな、と。
正直なところ、現場のセールスパーソンって何もしたくないと思うんです。SalesforceやUPWARDのサポートによって、スケジュール作りやお客様とのタッチポイントの可視化が自動化されるのであれば、あとはお客様とお話しするだけになるので、より働きやすくなるんじゃないかなと。
浦野:それこそルートセールスをされている方は、本当にお忙しいですからね。1日に10拠点まわる方もおられるので、入力する時間などは極力減らしたいですよね。
金木:そうなんです。そういう世界を、一緒に作っていきたいなと考えています。
ビジネスアプリケーションの未来
金木:浦野さんはご自身でも長く営業活動をされていましたが、エンタープライズに求められているビジネスアプリケーションの世界というのは、今後どのように変わっていくと予測されていますか。
浦野:今まさに製造業の分野でやろうとしているのは、Webサイトのアクセス履歴など、匿名データを活用して「自社にない商品で、顧客が欲しているものは何か」を獲得していくことです。
ITの進歩のおかげでかつてより大量のデータトランザクションを捌けるようになっていますので、営業が顧客接点で得られるデータに加えて、そうした匿名データを使って戦略を立てていく、といった流れが起きてくるのかなと考えています。
金木:そのためには、顧客情報と各ビジネスアプリケーション、企業の持つシステムとの連携性が非常に重要ですね。
浦野:必須ですね。「サプライチェーンの情報を繋いでいきたい」、「未だにExcelで連携してしまっているので、スムーズにかつリアルタイムに繋げていきたい」といったニーズも増えてきています。
ここを叶えるためにはAIエンジンも必要になるかと思いますし、UPWARDのような地図などで分かりやすく可視化する機能というのもまさにこういったニーズに応えられるソリューションだと思います。
金木:ありがとうございます。実はUPWARDというアプリケーションには、あまりドメスティックなテクノロジーが使われていないんです。プラットフォームもSalesforceですし、地図も世界中で使えるので、将来的には海外展開も考えています。
アジア地域には特にオフラインのビジネスマンがたくさんいると思いますので、そこはまた貴社にもぜひ繋いでいただき、ご支援いただきたいなと考えています。
浦野:素晴らしいですね。私自身も、ISVパートナーの皆さまには世界に進出していただきたいという想いがあります。
できる限りご支援して、一緒に成功に繋げていきたいなと思っています。
金木:本日は貴重なお話、ありがとうございました。