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基調講演
【日本の産業をもう一度元気に】スタートアップ に期待する役割
石井: 2022年は、スタートアップ創出元年 と言われています。スタートアップ支援についてはこれまでも行なってきましたが、更にそれを強化する ということでこのキャッチフレーズが掲げられています。 今、内閣府として「新しい資本主義 」という方向へ進むべきであるという議論があり、この中で「成長と分配の好循環 」を実現したいとなったときに、“成長 ”を支えるのがスタートアップです。 開業 の準備から事業の立ち上げ 、人材育成指導 、JETROの海外展開 支援など、色々な政策を組み合わせて包括的なサポート を行なっています。その中の柱の一つ となるのが、我々の支援する「J-Startup」 。世界に価値を提供できる企業を増やしていく取り組み です。
石井: 本日はUPWARD株式会社のセッションですが、J-Start-up第3次企業選定 においても重点を置きたいエリア として国の大きな課題であるDXの推進 がありました。コロナ禍 を経て、更に課題感が顕著になり進んでいる状況ではありますが、これを一段前に推し進めていくこと が非常に重要です。 UPWARDのプロダクトを通じて営業組織 や働き方 を変えていく、そして我が国のスタートアップが世界へ出ていって、価値を提供する 。UPWARDもこの先海外展開をされると伺っていますので、そういった部分での活躍 を非常に期待しております。
石井: この後金木社長、倉林さんからのお話がありますが、我が国のDXを、働き方を次のステージへ持っていってほしいな 、と。最後に大切なメッセージですが、私たち政府はスタートアップを、積極的に支援しております 。この先もどうぞよろしくお願いいたします。
2025年の崖を打開するSales Engagementとは?世界を目指すJ-Startup企業が提唱する最新営業術
金木: 石井さんの基調講演でもありましたが、我々は「セールスエンゲージメント 」という領域で、営業のDX ならびにミッション「現場のラストワンマイルを革新する」の実現 へ向けて世界 を目指しています。本日はDNX Venturesの日本のトップである倉林さん と一緒に、ここを深掘りしていきたいと思います。
倉林: ありがとうございます。DNX VenturesというVC(ベンチャーキャピタル) で日本代表をしております、倉林と申します。今日、せっかくの機会なのでぜひお伝えしたいのですが、下記の資料の右側 が、DNX Venturesで投資している企業の一部です。日本ではほとんどSaaS企業 に投資をしており、我々ほど日本発SaaSの未来に掛けているファンドは他にないのでは 、と思っております。
倉林: まず欧米に比べてこれまで日本はソフトウェア、デジタルが遅れており、BtoBスタートアップにおいて後進国 でした。しかし資料の通り、ようやくBtoB分野の社会課題を解決する企業 がいくつか出てきており、我々もフルベットで投資しています。 UPWARD とも長い付き合いで、かなり関係の近い投資先の1社 です。 我々のファンドのイニシアティブとしては、シード から投資してオフィスをお貸しするなどのご支援をしながら、レイトステージ になっても今度はグロースのファンドから投資する。BtoBスタートアップの、最初から最後までのステージを一貫して伴走する 、という点です。
金木: 倉林さん、ありがとうございます。 UPWARDについて、フィールドセールス向けのクラウドサービス としては現在トップシェア を誇っています。セールスパーソンと顧客をつなぎ、企業全体の顧客への解像度を上げて戦略を立てやすくする“セールスエンゲージメント” を支援するシンプルなソリューションで、CRM と我々のサービスがシームレスに連携して、アプリケーションを何も触らなくても、自動 で顧客接点 がお客様の情報に紐づいて入っていきます。
金木: 蓄積されたデータを使って、位置情報を活用したロケーションインテリジェンス という領域で効率的に訪問計画も立てられ、リアルタイムにダッシュボード で可視化 されていく。こうしたセールスエンゲージメントを強力に支援していきたいなと考えております。日本ではまだこの概念自体があまり浸透していないので、セールスエンゲージメント自体を広めていく のも僕らの使命になります。
担い手不足の時代に 営業組織はどう対応すべきか?
PDF 18ページ
サービスご紹介資料
「UPWARD」のより詳細な情報をご紹介しています。
欧米で定着する、セールスエンゲージメントという考え方
倉林:セールスエンゲージメント という言葉自体、グローバルではCRMの次の世代 、という位置付けですね。アメリカでは既にユニコーン など非常に大きい会社が出てきていて、“主役”の位置付け になっています。日本ではまだCRM が主役ですが、3-4年後、必ず追ってセールスエンゲージメントも主役になるだろう と踏んでいます。UPWARDは随分前から先駆者 としてこの領域をやっていたな、と、そんな印象です。
倉林: こうしたセールステック においてよくあるパターンとしては、まずはホリゾンタルSaaS(業界を問わず特定の業務に使われるSaaS) のセクターでセールスの自動化、効率化 を図っていく。「全体の平均値を上げていく 」というソリューションコンセプトはセールスエンゲージメント、セールスイネーブルメント、そのどちらにも共通しています。 属人的にパフォーマンスが変わってしまう のではなく、テクノロジー を通じて「あなたは次このアクションしたらコンバージョンするよ」という示唆を与えることで、アクションを最適化していこう 、と。あとは顧客のエンゲージメント、エキサイトメントを見ながら、最適なコミュニケーションを1対1でやっていく という、AIには叶えられない部分 を補完 していく。 こうした一連の流れ を、アメリカらしく自動化 してテクノロジーの助けを借りながらやっていくという文化があるのですが、こうしたニーズは徐々に日本でも当てはまりつつあります。 終身雇用 が主流だった時代においては、ずっと新卒から同じ方がジェネラルに担当していく ので、いわゆる“型 ”を置かなくとも、上司から教わってその通りやることができました。しかし、日本企業であっても離職率 が上がったり、中途採用 が増えたり…。人の入れ替わり が昔よりどんどん進んでいる今では、営業の型 が必要になってきています。
倉林: また、データで判断する ということも重要です。先輩から「こう営業しろ!」と言われても、「本当にそのやり方は合っているか? 」と疑問が出るように、営業手法 が見直されるようになってきています。会社は変わらなくともお客様は変わる ので、そこに昔ながら の「先輩の背中を見て勉強しろ」というスタイルがはたして適切なのか 。こうしたところを可視化 して、最適化 する。こうした大きな流れが日本でも起きつつありますしし、市場として受け入れる素地ができてきている のかな、と感じます。
新型コロナウイルス感染拡大による日本市場の変化
金木: 倉林さんからのお話にもありました通り、フィールドセールスの在り方 が変わってきており、やはり少なからずコロナ の影響もあるかな、と考えています。よりモバイル端末の活用 が活発になり、実際に会社の拠点 を頼らずに自分たちでお客様との接点を設けていく。 ただ業種・業界の中には、常にオンラインで商談をする商慣習 がなかったり、そもそも営業対象であるお客様にITリテラシーがない という業種もたくさんある。電話もメールも繋がらず、訪問しなければ接点が持てないような…。そういった業界においても、「無暗に行く 」ということは抑えられてきていますね。 実際に現場に行って、お会いしないとお客様の本質が掴めない 、というところがあるのではないかな、と考えていて。メールやオンライン会議だけではなく、電話でも話してみたり、お会いしたりしたときの空気感 みたいなところ。担当者が受ける印象 や、この商談ってこうなんだという…そんな、デジタライズできないような情報 って、必ずあるのではないかと思います。
金木:営業DX とは2種類 あると考えておりまして、一つはいわゆるオンライン名刺 や自動PDF解析サービス のような、元々紙だったり煩雑だった仕組みをデジタルで活用しやすくする もの。 もう一つは、人の頭の中 や手帳のメモ といった、情報化されていない情報 、中堅の営業担当者 の方が「自分が一番分かっている! 」と思うような部分。ここのDXは、なかなか記録化しにくい ところです。入力が個人任せ になり、本人がサボってしまう ことも多いところを、リアルタイム で記録化 していく。それらを定量化 し、個別最適化 された形で現場のインサイトへ返していく ところに、我々は取り組んでいます。