みなさんは、“営業職”という職業に対して、どんなイメージの変化を感じていらっしゃいますか?営業=“猛烈な体育会系社員”というイメージが過去のものとなった現在でも、「営業は人間力だ!」と熱量たっぷりに根性で成績を上げる「熱血営業」は、いまでも数多く存在しています。結果を出しているのですから、当事者の担当者としては周囲のことや組織全体の中での役割や、自身の言動がどのように影響するかなど気にしないで、我が道を行くという具合です。これがタスクをこなすという視点で見た際、大目に見て最前線に立つPlayerであれば、まだ問題は少ないのですが、組織を束ねる営業マネージャーとなれば、当然、精神論だけではまーね―ジメントが成り立ちません。複数のメンバーをマネジメントするためには、客観的なデータからの分析による行動計画の立案や改善が欠かせないものになってきます。営業活動の改善を組織的に行うため、役立つデータ分析の基本をお話ししていきたいと思います。
営業活動の改善につながるデータ分析の基本!事実に基づく分析が正しい対策につながる
営業組織の活動・行動改善にデータ分析が重要となる理由!
営業活動の改善に、データ分析が重要となる理由は主に3つです。
個人や過去の活動から得た、“勘や経験”に頼ったマネジメントは当人の属性による偏りが大きくなり、他の人にはその手法を真似ができないケースが多く、したがって、組織でのばらつきを“平準化”して、メンバー全員で活動量のボトムアップをはかりたい時にうまくいきません。
これを、メンバーで集めた客観的で定量的な視点による「活動データに基づく分析」によるデータを活用すれば、個人の特性を加味してボトムアップが可能になるとともに、組織としてのノウハウとして共有・蓄積をしていくことが可能になります
二つ目は、「判断力(判断する精度)の向上」です。
定量的なデータがない状態での判断は、どうしても、施策の立案者の“思い”に左右されることになります。
「最近、訪問件数が少なくなっている気がする」という思いをもったまま、データを確認しにいく。実際にデータを確認してみると、逆に、「以前より訪問件数が増えていた」というような感覚と事実のズレは珍しいことではありません。
ここで、もし、判断材料となるデータの無い状態で、判断を下して「間違った改善」を、決意して、メンバーの活動に不要な変化を要求したとします。
マネージャーの“後悔”はさておき、誤った認識を提示され、正しくない改善を要求されるメンバーのモチベーションはどうなるでしょうか?いうまでもなく、せっかく気づいてきた信頼関係は崩れてしまうでしょう。
ですから、客観的な視点で定量化されたデータをもとに、精度の高い判断をして、具体的なアクションを導き出して、managementをすることが、重要になってくるのです。
三つ目の理由は、「説得力」の問題です。
“感覚的なものから導かれた判断”は、他人にはなかなか正確に伝わりません。
営業職は自分の活動に対して、常に数字での責任を負う職種です。
ですから、その手法や進め方については、自分独自のノウハウを持っているものです。
このような、それぞれが“自分のスタイル”を持った個性的なメンバーに対して、感覚的な判断から導き出した指示を提示することは、間違った趣旨で意図を誤解される、または、メンバーの反発を招いてしまうということにつながります。
一方で、定量的なデータを基にした判断には「客観性」が伴います。
誰から見ても変わることのない“絶対的な定量”での数値が判断材料になります。
ですから、そこから導かれた改善施策に対しても、理解が促進しやすく、納得感も高いものにできます。
SFAなどのツールを活用して、定量的なデータを貯める!
データ分析を行うためには、当たり前ですがデータの蓄積が必須となります。
とはいえ、過去の商談記録や営業のスケジュールを確認して、あとからデータを取りまとめていくと膨大な作業量になりますし、現実的ではありません。
営業改善のためのデータを蓄積するために、普段の活動の中で事前と「データが貯められる仕組みと環境づくり」をしておくと、比較的簡単に、しかも、一定期間で気づけば、判断に必要なデータが蓄積されているという状況を構築できます。
SFAやCRMに代表される「営業活動支援ツール」を導入し、スケジュール管理や商談記録の情報を、ひとつのツール(データベース)に集約すると効率的で扱いやすくなります。
Google社が無償で提供している、“スプレッドシート(Spread Sheet)”などを活用して、自分で用意することもできますが、入力時の操作によるデータ破損や、入力のミス、普段からのメンテナンスにかかる工数などを考慮すると、あまり効率的とは言えません。
やはり、専用ツールを導入して蓄積することをおすすめします。
営業活動の改善につながるデータ分析の基本
動向分析
データ分析の基本は3つのステップに分けられます。
一つ目のステップが大まかな状況を把握するための動向分析です。
細かなデータは一旦置いておき、主要指標のみに絞って前年や前月と比較をしてください。数値だけで見ているとトレンドが把握しづらいので、グラフ化して直感的に変化が捉えられやすいようにするとよいでしょう。
この作業によって、営業プロセスのどこに問題があるのか当たりをつけたら、次の要因分析に進みます。
要因分析
要因分析では動向分析で掴んだ問題が、何によって引き起こされているのか、その原因を探します。
まずはブレストの感覚で、考えられる要因を可能な限り挙げていくとよいでしょう。
初めから候補を絞ってしまうと、思考の幅が狭まり、思わぬ見落としをしてしまいがちです。
たとえば「訪問件数が昨年に比べて20%少ない」ことが問題であったら、「1件あたりの商談時間が増えている」「遠方の顧客が増えて移動時間が増えている」「社内業務が増えて、営業の訪問に割ける時間が減っている」などなど、多数の原因が考えられるはずです。
一通りの要因を挙げたら、どの要因が本当の原因であるか仮説を立ててください。
検証分析
動向分析や要因分析から導いた仮説が正しいのかを確認する作業です。
仮説に沿って各指標の数値を変えてシミュレーションを行い、問題が解決するのかを確認してください。
仮説はあくまで仮説です。必ず正解が出せるわけではありませんが、この作業によって精度を高められるはずです。
分析後には対策を立てて実行する
問題の原因がわかっても、そのままアクションをしなければ意味がありません。
原因の仮説が立ったら、解決のための具体的な対策を考えて、実行できるようにしましょう。
対策案を考えるときにも、まずは、ブレストで一通りの案を出すことをおすすめします。
実現可能性や常識に囚われず、可能な限り多くの案を出すとよいでしょう。
現場のメンバーも巻き込んで、ディスカッション形式で会議を行うのもよい手法です。
企画段階からメンバーを巻き込むことで、改善施策を実行するときに、協力を引き出しやすいという効果も期待できます。
改善施策の素案が出揃ったら、物理的側面や費用的側面などで現実的には、実行が難しい案を候補から外します。
残った案をベースにして、現実的に実行できる施策を優先順も含めプランニングしていきます。このとき、過去の、また、自社の慣習や常識に判断が左右されないように注意して進めることも重要です。
たとえば、「うちの業界はフェイス・トゥ・フェイスの対面営業が基本」と思い込んでいたケースでも、実は、顧客の方では意外にも「オンライン商談」に抵抗がなかったというケースは決して珍しいことではありません。
おわりに
ビジネスの基本は「PDCA」を回すことだとよく言われます。
しかし、Check(検証)の段階でつまずいてしまう例も少なくありません。
そこで今回は、“検証”にフォーカスした内容でお話しさせていただきました。
基礎となるデータ分析が可能な体制をつくり、PDCAを回して組織の正しい改善につなげてみませんか。
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